籠の少女は恋をする(1) (電撃コミックスNEXT)

以前、本屋さんでおすすめされているポップを見かけたことがありました。だけど、その時は興味を示さずにスルーしたんです。

しかし、ある時、友達からおすすめしてもらいました。なかなかの問題作ということだったので、試し読みしてみました。

おそらく、少女漫画の部類に入るのかな?だけど、男性が読んでもいい漫画だと思います。性別を選ばない漫画ですね。

あらすじ

舞台は、とある全寮制の学園。そこには、容姿端麗で頭脳明晰な少女たちが集まってくるのです。千鶴は、そんな学園に入学することになります。

その学園では、ハイスペックな教育や一風変わった健康診断etc、普通の学園では実施されないカリキュラムが行われていたのです。

なぜ、そのようなカリキュラムが行われているのか?それは、少女たちが、いずれ金持ちに売られていく存在だったからです…。

感想

人の価値が問われる漫画だと思う

「お金持ちに買われるにふさわしい少女を育成する」という、少々ショッキングな内容です。「人身売買」をテーマにしていると言ってよいでしょう。そのため、人間の価値が問われる漫画だと思います。もちろんフィクションの作品です。

しかし、なぜか妙なリアリティを感じるのが不思議なところ。それは、この物語に登場する少女たちが「現実世界の女子校生が抱くような思春期」同様の「心の闇」を持っているからだと思います。例えば、それぞれの「生い立ち」。

本作品に登場する少女たちは、それぞれの家庭の事情などを抱え、この学園にたどり着いています。現実世界でも、家庭の事情を抱えている少女は多いはずです。そんな妙なリアリティが、この作品の緊張感を生んでいるのではないでしょうか?

傷を舐め合うように寄り添う姿が健気

本作品に登場する少女たちは、基本的にシリアスな雰囲気。明るく振る舞うムードメーカーのような女の子は、今のところ出てきません(今後どうなるか分かりませんが、多分出てこないでしょう)。自分たちが、いつか売られていくことを悟っているのです。

少女たちは、そんな自分たちの傷を舐め合うようにクラスメイトとは「寄り添う」のです。その描写が、とても健気で、胸が切なくなります。レズビアンともとれる絡みもあるのですが、同性愛者とはちょっと違った緊張感ですね。

百合要素がある漫画といえば「マリア様がみてる」が有名ですが、それとは明らかに違った世界観です。これは、「面白い!」というより、「引き込まれる」といったほうがピッタリかもしれません。読めば読むほど続きが非常に気になります!

台詞回しのセンスが良いと思う!

本作品が醸し出す独特の世界観は、ストーリー設定だけではなく、台詞回しの影響も大きいと思います。「化物語シリーズ」でおなじみの西尾維新のような、鬱陶しい台詞回しではなく、スパッと短いセリフになっているのが特徴。

それでいて、読者の心に突き刺さる一言を選んでいるんです。一言で読者を鬱にさせるこのセンスは、他の漫画家さんには見られないのではないでしょうか?そのテンポ感は「詩集を読んでいる」感覚に近いかもしれませんね。

また、ひとつひとつのコマが大きく描かれているのもポイント。少女漫画って、コマ数が多い上にセリフがびっしり書かれている場合も多いですよね?でも、本作は、コマが大きい上にセリフが少ないから、すっと頭に入ってくるんです。

まとめ

この作品を読んで一番心に残るのは、やっぱり「人身売買」ですね。世界における人身売買は、子供が中心なイメージがあります。ましてや、その舞台は海外が中心です。だから、日本人からしたら人身売買は「海の向こう」の存在。

だけど、この漫画は日本が舞台になっている上に、女子高生というのがミソ。したがって、身近で人身売買が起こっているような錯覚になってくるんです。フィクションとはいえ、ある意味、教科書のような一冊ではないでしょうか?

この作品を見た後、街を歩くと、制服を着ている女の子たちの見え方が少し変わってくる気がしました。「みんな、何かしらの悩みやバックホーンを抱えて、生きているんだろうな」と。そんな影響力がある作品は、私は本作が初めてでした。

オススメ度:★★★★★★★★★★ ★10