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墓守とリボン (裏少年サンデーコミックス)

この本とであったきっかけは同じマンガワン連載の『柘榴ノ地獄』という作品にはまったからです。単行本購入をきっかけにマンガワンを利用するようになり、可愛らしい絵柄にひかれて読むようになりました。

可愛らしい少女とクール墓守のコンビが目を引いただけでなく、タイトルのリボンがどんな意味を持つか気になったというのもあります。

実際に読んでみると人物の心を丁寧に描写しようという気持ちが伝わってきたため、単行本で改めて購入しました。

あらすじ

幽霊に会いたい少女、イヴマリーは幽霊を見ることが出来るという墓守オズワルドに無理やり弟子入りしようとします。しかし、オズワルドはイヴマリーに幽霊と関わらないように度々警告します。

しかし、誰にも分け隔てなく笑顔で接するイヴマリーは、幽霊の心までも解きほぐしていきます。実は幽霊は見た目が生前と変らないことも多く、イヴマリーも自然と会話をしているというケースがあったのです。

しかし、そのイヴマリーの姿と笑顔にオズワルドは気づきをえると共に不自然さも感じます。幽霊に対しても厳しく当たるオズワルドでしたが、そのあり方自体を見直していくことになるのです。

感想

おてんば少女とクールな墓守の心の交流が魅力

この作品でまず目を引くのが、可愛らしい少女と美形の墓守の姿です。フリルとリボンで飾った少女とカッチリとした服装に身を包んだ墓守のコンビは、中近世の世界でも成立してしまいそうな姿になっています。古き良きヨーロッパ文化や貴族文化に憧れる人にはたまらない雰囲気です。

実際には作中にテレビが出るなど、近代から現代を舞台にした作品だとわかります。しかし、描写が最低限のため想像できる余地が大きく、ファンタジー的な雰囲気も楽しみたい人にはおすすめになっています。性格もおてんば娘とクールで頑固な墓守とわかりやすく、ギャップを楽しむことができます。

イヴマリーの心にとあることが影を落としているのもポイントです。幽霊に合いたいと思う理由がしっかりあり、オズワルドに幽霊に関わるなといわれても諦められない要因になっています。だからこそ、二人関係は続いていき、お互いに影響を与えていくのです。

幽霊は登場するがバトルものではない

オズワルドは墓守をしているだけでなく、墓に現れる幽霊を天に送る役割も担っています。注意したいのはバトル中心の派手な物語にはならないことです。主人公はあくまでイヴマリーであり、少女の心の成長と幽霊やオズワルドを含めた交流を描いた物語だからです。

基本的にオズワルドが幽霊を天に送る能力は非常に高く、気をそらされたりしなければほぼ確実に消滅させることができます。しかし、イヴマリーの場合は強制的に天に送るのではなく、あくまで対話で未練を晴らすことを目指そうとします。二人の考え方の違いは時に衝突を生みますが、イヴマリーに救われる幽霊も現れます。

イヴマリーはまだ少女であり、認識出来ないことが多いのもポイントです。危険を感じた場合はオズワルドが処分を先行するなど、あくまでイヴマリーを守ることを優先することを優先する場面もあります。オズワルドは幽霊に対して職業上無慈悲になろうとしているだけで、実は優しい人間であることを示唆する場面も多いのです。

人の死が心に残す傷を丁寧に描こうとしている

この作品でもっとも良いと思ったのが、人の死が心に残す傷や、残された人たちの人生を丁寧に描こうとしている点です。イヴマリーが幽霊に会いたいと願うのにも理由があり、それにはある人物の死が深く影響しています。イヴマリー自体が死んだ人に対して心残りがある状態なのです。

心の傷は簡単に消えるものではないことを示唆する場面も多く登場します。イヴマリーの明るさや笑顔も傷によって生まれた部分があります。オズワルドはイヴマリーの笑顔に不自然さを感じていて、だからこそ気にかけている部分があるのです。

心の傷は、無自覚に強い影響を与えることもあります。衝撃が強ければ強いほど自覚に時間がかかるケースも存在します。そういった意味で、伏線を丁寧に貼りながら、人の心の揺れや痛みなどを描写した作品になっていて、シンプルな分ストレートに伝わる内容になっているのです。

まとめ

衣装フェチな部分があるので、イヴマリーの服装もオズワルドのインバネスコートにジャケットベストといった服装も非常にツボでした。マンガワン連載時に非常に多かったおまけ漫画はマンガワンにアクセスすれば無料で読めるように配慮されていて、単行本とアプリを並行すると物語のギャグ分が補完できます。

単行本のおまけ漫画では成長したイヴマリーの姿を見ることができ、二人の関係の変化にニヤニヤすることもできます。オチはつくものの、一部読者(ひょっとすると作者)の願望を直球で書いてくれています。一巻完結でオズワルドの過去など描写が物足りないと思う部分もあるものの、次巻が出たらと期待する部分でもあります。

全体的に物語りはシンプルで、丁寧さを重視した作品です。ジェットコースターのような展開や、先の読めないマンガの展開に疲れている人にはおすすめで、ちょっとした癒しを提供してくれます。根本的にバットエンドを想像できない優しさあふれる作風も魅力の一つです。リボンもしっかりとオチに生かされていました。

オススメ度:★★★★★★★★★☆ ★9

月10冊程度、年間100冊超の漫画を読むフリーライター。非定期で友人と百合漫画を語る会を開きますが、ジャンルは不問で何でも読みます。

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