マグネット島通信 1 (BUNCH COMICS)

新刊を読むにあたって、過去に何度か絵の雰囲気を基準に選んだ経緯があります。自分の感性で正直に選び、手に取っていました。

それ自体が悪い事ではありませんし、どの作品も個性があり面白かったのですが、何故か私が選ぶものは[萌え]と[エロ]が絡んでしまうのです。

今回はあえてそこから離れていそうな、それでいて面白そうなタイトルという事で[マグネット島通信]という作品を選ばせて頂きました。

あらすじ

東京から離島である磁辺島(じへんとう)へと引っ越してきた本作の主人公、本山田(もとやまだ)が船で島へ移動してるシーンから始まります。

序盤から中盤にかけて、本作のヒロインである茅吹初姫(かやぶきうぶき)と関わりながら、島に落ちているマグネットの様な謎の固形の存在を据え置き、話を進めていく形です。

その過程の中で初姫の幼馴染である相良小豆(さがらあずき)、弟である茅吹源輝(かやぶきげんき)、島に引っ越してきた立花さんを交えて話は進行、飛んでもないオチを残して1巻は終了となります。

感想

島国の人懐こい女の子!~男受け抜群のヒロイン~

この作品自体が決してオタク路線を走ってる作品ではないですし、絵の質感も萌えを狙ってるわけではないのです。しかし、ヒロインの初姫は料理が上手な女子高生で天然が入ってるフワフワしたタイプの女の子…。そのキャラクターと絵の雰囲気が合っていて、読者をほのぼのとさせてくれるでしょう。

主人公である本山田は32歳です。島に引っ越したその日のうちに女子高生の初姫と打ち解け、二人の時間を過ごすことに…。そこに恋愛感情を含めた描写はありませんが、本来並んで歩いてるだけでも疑惑を抱くシチュエーションです。しかしそこも島国の人懐こい女の子という設定で話を結びつけているのは印象的です。

島のイメージとしては[青空と太陽]それに[夏]という色合いが強く、1巻の半分以上がその印象を色濃く残してくれました。数コマほど雨のシーンもありますが、そこには物語の軸となる[マグネット]の特徴をしめす大事な部分を語る要素となります。

田舎っていいなぁと思える場面が多し!!

作品内で[海]や[太陽]や[青空]といった夏の世界観を映し出しているわけですが、キャラクターがアイスを頬張る場面、子猫の首根っこをくわえる親猫の1コマ、ご近所さんから果物を頂くといった季節と田舎がマッチしそうな絵を小出しに描いてる部分が良いアクセントになっています。

もちろん小さな部分での魅力も良いのですが、本作に出てくる磁辺島の文化である空から降って来る小さな物質[マグネット]の存在、猫のような形をした島の神様であるお地蔵様。そして1巻の最後のシーンで見れるとんでもないオチにも是非注目して頂きたい作品になっています。

ほのぼのさせる絵の質感に島国の世界観を落とし込み読者を惹きつけています。最初はなるほど、こういう癒される日常系の漫画なのかな?と思っていました。そういう描写もふんだんに盛り込まれているのですが、読んでいくうちに色々な謎を少しづつ盛り込んでいき読書の読む意欲を掻き立てていきます。

癒しとミステリアスの融合!~なんとも言えない感情になる~

良い意味で絵の雰囲気に騙されました。この作品はエロの類とはまったく関連性が無い作品で、ほんわかした絵に癒される作品ではあります。しかし反面[なぜそうなるの?]と疑問を抱かせるような場面が少しづつ盛り込まれていき、不思議な感情になっていくこととなります。

例えば、この作品の軸になっている[マグネット]という謎の物質、何故か空から降ってきて島に散らばっており、それを水に浸すとグルグル回りだします。他にも猫の形をした地蔵にお供え物をあげたら、そのお供え物がその場でいきなり消えてしまうといった場面もあり、読者に謎を植え付ける狙いになっています。

絵のテイストは癒し系ですが、話の内容はじわじわ不可解さを増していくミステリー系といった印象です。このギャップが読者を病みつきにさせてる気がして、うまい具合にのめり込まされました。ほのぼの系だと思って読んでみるとハマってしまうのでその過程も楽しめるかもしれません。

まとめ

一巻を読み終えた感想としては、[早く続きが読みたい!]でした。病みつきになります。一巻の最後にこの作品の癒し系とも何とも取れぬ、世界観を変える凄いオチが用意されています。もしかしたら、まだ一巻では本来のジャンルをまだ見せていないかもしれません…。

とは言いつつもやはりの絵のタッチや、ヒロインである初姫の愛くるしさ、田舎への綺麗なイメージを彷彿とさせる世界観、どれも魅力的で夏休み気分を少し味わえた気がします。夏が好きな人にもぜひオススメしたい一冊になっています。

全ての過程を楽しんだうえで一巻の最後のオチに期待してください。目次のタイトルが擬音系で綴られており最初は不可解に思われますが、きちんとその擬音系に結びつく内容が一話ごとに盛り込まれているため、二回目以降を読み返す時にはタイトルと照らし合わせながら読むのも面白いかもしれません。

オススメ度:★★★★★★★★☆☆ ★8