ひみつのはんぶんこ (リュウコミックス)

私はツイッターを見ていた際にこの漫画の作者さんが宣伝しているツイートが目に入り、そこで作品のことをはじめて知りました。

その宣伝の内容ではもう連載は終わっていて、単行本が出るとのことだったので、一巻で完結しているならと買ってみることにしました。

そのような軽い理由で私はこの本と出会ったのですが、あまりに素晴らしい作品だったために実際に読んでみてこの偶然の出会いに感謝することになりました。

あらすじ

幼なじみの小学六年生、楓と塁はいつも隣にいて一緒に行動し、なんでもはんぶんこにする、そんな間柄でした。

しかしそんな二人の間には、たった一つだけ、楓は女の子で、塁は男の子であるという大きな違いがあります。

小学六年生になり、どうしても男の子と女の子では身体の違いが現れ始めます。そんな中で、二人の関係はどう変わっていくのでしょうか。

感想

二人の姿を温かく見守ることができる

いわゆる萌えの対象としてのロリキャラやショタキャラの出てくる漫画は多くあり、それなりに人気のある一つの立派な属性であることから、ほとんどの登場人物がそういった小学生程度のキャラクターで固められた作品も少なくはありません。

しかしこの作品は、雑念を持ち込むことを自主的に遠慮してしまうような、そいったものを超越した存在となっています。楓と塁の二人の関係性は、子供だけが持つことのできる、穢れなどの無い宝物のような尊すぎるものなのです。

二人の日々の姿、成長、過去、悩み、変わっていく部分、変わらない部分。それらを、親のような目線で温かく見守ることができる。読んでいて、思わず自分の持っているあらゆる邪念や煩悩を捨て浄化されてしまいそうになるほど素晴らしい体験でした。

二人のストーリーをより素晴らしいものにする登場人物たち

楓と塁それぞれの家族は、どちらも非常に魅力的な存在です。二人だけではどうしても答えが出ず、そこで止まってしまうような問題が起きた時、その周囲にいる家族が二人を助け、先のステップに進むことができるようにサポートをしてくれます。

とはいっても二人にべったりくっついて世話をやくというようなものではありません。家族として自然に接し、その中で意識的にであれ無意識のうちにであれ、その事態を解決できるような小さな手伝いをしてくれる、そういったさりげなさが魅力なのです。

あまり登場人物は多くありませんが、家族以外でもそういった存在はいます。たまちゃんという彼女は二人と同学年で、それだけに家族とはまた違った助言や手助けを、特に同じ女の子である楓に対してしてくれる、話の中でも重要な存在となっています。

二人を包む細かな描写を堪能できる

楓と塁の周りの様々な背景は、どれも控えめながら丁寧に描かれた美しいものばかり。二人の微笑ましい、いじらしい姿をより際立たせる温かな雰囲気を持った素晴らしい背景描写を、どんな場面においても味わうことが可能です。

また、それらの背景は二人が子供であるということを大変よく表現してくれてもいます。体より少し大きめな棚や、知らないものがいっぱいある商店街、下校途中の通学路など、ストーリーにおいてもさりげない役割を持っており、じっくりとページを見ることで話をより楽しむことができるでしょう。

背景だけではなく、ランドセルや二人の履いている靴といった小道具についても非常に繊細な描写があり見逃せません。特にスイミングスクールのバッグのバッジは、かつて水泳教室に通っていた人ならば自分もやったと懐かしく感じてしまうような存在で、そんな細かい部分まで丁寧に描かれていることに驚かされてしまいます。

まとめ

この漫画は、どんな人にでもお勧めできる本だと私は思っています。上では書きませんでしたが、二人の家族がかなり個性的なキャラをしていることもあって、くすっと笑わせてくれるような場面もストーリーの中にはあります。

そのため、二人の愛らしさを噛みしめながら読み進め、時には面白い展開に笑い、時には二人のすれ違いを心配し、時にはその健気さに涙する、と様々な気持ちを抱きながらその成長をじっくりと楽しく見守ることができる物語なのです。

二人の可愛らしい容姿に惹かれた人、子供が成長する姿が描かれた話の好きな人、幼なじみの二人組という単語にキュンとなってしまう人、舞台が小さくコンパクトにまとまった話が読みたい人、純粋で美しい物語で心を浄化されたい人、とにかくあらゆる人にお勧めできる一冊です。

オススメ度:★★★★★★★★★★ ★10