王子が私をあきらめない!(3) (KCデラックス ARIA)

私は家族がこの漫画の一巻と二巻を持っていたことがきっかけで、『王子が私をあきらめない!』という作品と出会いました。

単純な女主人公目線の恋愛ものかと軽い気持ちで手に取ってみたのですが、かなりコメディ色の強い作品で、それにかなりはまってしまいました。

第三巻が発売されるとすぐに、家族が買ってくるのが待ちきれなかったこともあって自分で買いに行きこの本を手に入れました。

あらすじ

初雪のアプローチを受け続け、それに次第にまんざらでもない気持ちを抱くようになってしまっていることに小梅は気付きます。

自分はどうすればよいのかという悩みの抜けない小梅ですが、なんと家族の所為で夏休みの内に転校しなければならないという衝撃の事態に。

小梅は果たしてどうなってしまうのか、初雪は最愛の彼女を転校させることなく助けることができるのか、怒涛の夏休みが幕を開けます。

感想

ギャグ漫画として非常に秀逸な点

そもそも、小梅がお金持ちばかりが通う学園に入学できた理由自体、おじいちゃんがレアアースを掘り当てたなどというツッコミどころしかないようなものであることからも分かるように、この漫画はラブコメではありますがギャグ漫画色が強めです。

登場人物の行動やセリフで笑わせてきたり、トンデモ設定で笑わせてきたり、意味不明な展開で笑わせてきたり、現実の有名人のパロディで笑わせてきたり、はては効果音で笑わせてきたり、とにかく作者は読者を全力で笑わせにきます。

そのため、極端なことを言ってしまえば恋愛漫画には全く興味がないというような人がこの本を読んだとしても、大量に放り込まれるネタの数々に思わず笑わずにはいられず、非常に楽しみながら読むことができてしまうでしょう。それぐらい優れたギャグ漫画なのです。

奇想天外な展開が続くストーリーが面白過ぎる

そんな数々の笑いのポイントの中でも、この巻では特に奇抜すぎるストーリー展開が笑いどころとなっています。まず冒頭から初雪の親衛隊である四天王の一人、真面目メガネの柿彦があまりにも下手な女装で登場、読者を笑いの渦に包みます。

そこからはお金を稼ぐためのバイト、お寺での修行、初雪の婚約者の登場と、並べて書いていて困惑してしまうような怒涛で意味不明の展開が続きます。婚約者登場などは別におかしくないものではあるのですが、その前後の脈絡が全くないために、結局のところ笑わずにはいられません。

ストーリーの雰囲気も、シリアスとコメディタッチの二つを激しく行き来し、読んでいてその勢いに飲まれてしまいます。シリアスな気分にひたっていたら不意にネタがさしこまれ、笑っていたらなんだか雲行きが怪しくなり、と読んでいて全く休ませてもらえないような退屈しない流れなのです。

でもやっぱり恋愛漫画としても良い

これまで散々ギャグ漫画であるかのような失礼な紹介をしてきて今更なのですが、恋愛漫画としてもこの作品はしっかりとツボを押さえており読んでいて非常に面白いものです。また、これまでに出た一巻、二巻と比べると三巻は比較的恋愛色が強めとなっています。

初雪以外の男性が登場し小梅に急接近することもあれば、逆に初雪に近い女性が登場するようなこともあります。そしてそんな初雪と小梅の恋を邪魔する、惑わせるような存在との交流やそれにより様々な気持ちを抱くといった描写がじっくりとされることもあって、恋模様はどうなるのかと非常にはらはらさせられてしまいます。

そんな恋愛の比重も大きいこの第三巻ですが、その分一巻二巻と比べて笑える部分が減っているというようなことも全くありません。恋愛もギャグもどちらもしっかり楽しめる、完成度の高いラブコメ漫画な一冊に仕上がっているというような評価ができるかと思います。

まとめ

私は個人的に初雪や周囲の状況に振り回されてころころ変わる小梅の表情が好きで、この巻を買った際にも非常に楽しみだったのですが、それがしっかりとあってとても嬉しい気持ちになれました。シリアス成分も多めだったので、考え込んだり沈むような小梅の表情をこれまでよりも多く見られて良かったです。

また、初雪の完璧超人ぶりを強調する過去エピソードが時々挟まれるのですが、今回もかなり面白い話がありとても笑わせてもらいました。全体的に文句のつけどころがなく、読んでいて大満足だったというのが私のこの本を読んでの感想です。

ただ一つ言わせてもらえるのなら、非常に気になる場面でこの三巻が終わってしまったことだけは残念というよりも困ってしまいました。この先の展開が気になりすぎて他のことに手がつかず、四巻が待ちきれないのでこの作品が掲載されている雑誌を買おうかななども思ってしまうほどです。

オススメ度:★★★★★★★★★☆ ★9