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異世界のんびり農家(1) (ドラゴンコミックスエイジ)

大学卒業後に会社に就職した街尾火楽(まちおひらく)はブラック企業での生活に明け暮れた20代を過ごします。

身体を酷使し、病気を患い入院…。そのまま30代で他界してしまった火楽を不憫に思った神様は、肉体を若返らせ記憶と身体をそのままに、彼を別世界に移転させる形で願いを叶えてあげることにしました。

火楽の願いは[健康な身体][人のあまり居ない静かな場所での生活][農業をやりたい]というもの…。

神様の力で思ったものをそのまま変化させる[万能器具]をプレゼントされた火楽は、目を覚ますと願った通りの世界にたたずんでいるのでした。

何から始めようか戸惑う火楽ですが、手元にある万能器具であるクワで土を掘ってみます。岩程固いと思われる土をサクサクと掘り起こして行く火楽。しかも、万能機具を手にしている時は体力の消耗はしないというおまけ付き。

今、火楽の異世界のんびり農家生活がはじまろうとしています。

表紙の絵に騙されるなかれ!ラブコメディか!?否か!?

引用元: 異世界のんびり農家(1)、内藤騎之介、KADOKAWA / 富士見書房、電子書籍版、p124

表紙やタイトルロゴから察するに最初はラブコメディだと思って読んでいました。第一話での話の半分はそれに近い印象の構成だと感じていたのですが、読み起こしてみるとどうも違うぞこの作品は…?といった感じになります。

というのも、大まかな特徴としては一巻の中盤位までは言語を話せるキャラクターとの関わり合いがまったくなく、吹き出しも丸みを帯びた会話での吹き出しではない、説明書きなどでよく使用させる長方形型の吹き出しが多様されているのです。

冷静になって考えてみると、主人公が異世界で人の少ない世界に放り込まれた状況下なのですからそうなる事も頷けます。読者は当面、火楽の心の声に向き合い、生活の基盤作りを見守る事になります。神様からもらった万能器具をクワや斧やドリルに変化させ、自分の寝床や手洗い、倉庫等を作る火楽の生活に注目ですね。

 

登場(生)物には純粋な人間はいない!! ですが…?

引用元: 異世界のんびり農家(1)、内藤騎之介、KADOKAWA / 富士見書房、電子書籍版、p128

火楽は話の序盤で[人の少ない世界]を神様に要求していました、そして彼は臨んだ通りの世界に舞い降ります。前途でも述べた通り、人型のキャラクターが出てくるのは一巻の中盤以降からです。

ですが、人型ではなくてもそれを特徴や個性で補える素晴らしい動物達と巡り合えるのです、角の生えた人よりもチェスの強い犬型の生物クロとユキにその子供達…。吐いた糸で衣類を作り、非常に頑丈で暖かい服を作れる蜘蛛型のザブトン。話の序盤はこれらの生物が華を持たせてくれました。

人型の登場人物で出てくるのは表紙でも飾っていた吸血鬼のルール―シー=ルーに天使族のティアになります。後半に入ると、ティアのツテでエルフの女性陣が7人出てきて話の幅を広げてくれるので、ここで一気にラブコメっぽさが出てきて萌え要素を味わえることになります。

ジワジワと話が広がり生産性が出てくる流れが絶妙である!!

引用元: 異世界のんびり農家(1)、内藤騎之介、KADOKAWA / 富士見書房、電子書籍版、p106

最初の読み始めは主人公の孤独感がありました。しかし話の中でかならず畑を耕す時にしても、建物を作る時にしても、上流の水を寝床に引っぱって来る時にしても非常に緻密で具体的な説明を促してくれています。読んでいると実際にその生活を自分たちが送っているような気持ちになりました。

そこから徐々に登場人物との出会いを増やし、生き物を育てる空間や冬をうまく越しながら、多人数で生活を送ろうとする話の広がり方に高揚感を覚え、真っ暗で何もない道に色どりを加え、明かりを灯してくれたような感覚になります。

その話の広がり方がまた読者の心を躍らせてくれる移行の仕方で、読む方としては良い采配で運んでくれるなぁ…と感じる所です。読み始めの頃は萌え要素はあるのか・・・?思わされましたがちょいエロは後半に含まれてます。ご安心下さい。

まとめ

引用元: 異世界のんびり農家(1)、内藤騎之介、KADOKAWA / 富士見書房、電子書籍版、p30

ブラック会社で病を患うとう設定は、現代ならではの生々しい理由だと思います。しかも主人公は親を亡くし、親族に如何わしい事をされた過去があるという前提…。どこか遠くで自分の人生をやり直してみたいという気持ちを抱いてる人には読んで頂きたい作品になっています。

また、0から何かを積み上げていき仲間や結果が出てくる喜びを知ってる方やアウトドアな生活が好きな人などは、自分がこういう立場に置かれたらどうするだろうか?という事を考えて読んでみるのも面白いかもしれません。自分としては自給自足の魅力に気が付かせて頂けました。

ある意味無人島生活にファンタジーが加わったという印象の作品なので、異世界でアウトドアという独特の世界を成立させているかもしれないですね。そういう意味では斬新な部分は多いと思われます。まだ一巻ですが、これからの話の広がり方や仲間の増え方、生活の送り方が楽しみです。

元ニコ生主、現役ミュージシャン。ライターとしては新米。自身にとって無縁であった漫画とライターの世界に飛び込み、目下勉強中。

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