『ワールドウィッチーズ 魔女たちの航跡雲 Contrail of Witches』はストライクウィッチーズシリーズの1作で、世界各地のエースウィッチの活躍を描いた作品です。
各人物に歴史上のモデルになったエースパイロットが存在するのが特徴で、1巻では『空飛ぶ悪魔』などの異名を持つ『ハンス・ウルリッヒ・ルーデル』、2巻では『ラバウルの魔王』の異名を持つ『西沢広義』をモデルとしたキャラクターが登場します。
3巻では指揮官としても卓越した能力を発揮した『アドルフ・ガランド』、夜間戦闘の撃墜王『ヘルムート・レント』、クバーニのライオンと恐れられた『ヨハネス・ヴィーゼ』がモデルのキャラクターが登場します。また、シリーズの人気キャラがゲスト出演するだけでなく、単行本恒例の入浴シーンを描いたおまけマンガが収録されるなど、ファンサービスにあふれた一冊になっています。
あらすじ
20世紀初頭、突如出現した異形の存在ネウロイの侵攻により世界は危機を迎えていた。ネウロイに対抗できるのは、魔導エンジンによる飛行脚ストライカーユニットを身につけた『魔女(ウィッチ)』たちだけ。
しかし、大戦初期を戦い抜き、類稀なる戦果を上げたエースたちも減り続ける魔力を理由に一人一人と前線を離れていきます。
世界のエースたちが次世代の魔女たちのために何をなし、何を残したのか、それぞれのエピソードを描いたのが本作になっています。
感想
パンツじゃないけど恥ずかしいキャラが初登場?!
引用元:ワールドウィッチーズ 魔女たちの航跡雲 Contrail of Witches 3、著:ななてる、原作:島田フミカネ&Projekt World Witches、KADOKAWA / 角川書店、Kobo版、P14

後方から手を回して前線を支える偉い人。そして、生脚ではない貴重なウィッチ。
ストライクウィッチーズ(通称:ストパン)シリーズの代名(迷?)詞の一つとなっているのが、「パンツじゃないから恥ずかしく無いもん!」です。「作中でパンツに見えるのはズボンです」という公式の力強いメッセージにより、パンツの定義がズボンに置き換えられているのがストパンの世界です。
戦闘中以外でもウィッチがパンツ(ズボン)姿で歩いているのも自然なことであり、恥ずかしいと思うこと自体が不思議なのです。しかし、『ワールドウィッチーズ 3』では、その世界観に一石を投じるキャラクターが登場します。
なんと、「短いズボンに違和感がある」ということで、普段は長ズボン姿のガランドが登場するのです。これはかっきてきなことです(棒読み)。幕間のおまけマンガでもネタにされている一方で、長ズボンであることが物語上のミスリードを誘う役割も果たしているのもポイントです。設定を腐らせない構成の巧みさも見所の一つになっています。
ウィッチでありながら男性整備員にナンパされるという貴重なシーンも収録されていますが、『薄い本で見た』『こいつは俺だ』という人はそれなりに重症かと思われます。
シリーズの人気キャラも登場!
引用元:ワールドウィッチーズ 魔女たちの航跡雲 Contrail of Witches 3、著:ななてる、原作:島田フミカネ&Projekt World Witches、KADOKAWA / 角川書店、Kobo版、P47
ストライクウィッチーズシリーズはアニメ化だけでなく様々なメディアミックスに成功していて、派生作品が多いのも特徴です。登場人物も非常に多く、それぞれの媒体で人気キャラを輩出しています。
『ワールドウィッチーズ』でも過去に登場した人気キャラクターが多数登場し、物語を盛り上げてくれます。大戦初期を戦い抜いたエースが多く登場するだけあり、横のつながりや師弟関係などニヤリとさせてくれるポイントが多いのです。
特にEPISODE14ラストの見開きを使った集合イラストは必見です。『ワールドウィッチーズ』に登場したキャラクターたちだけでなく、主要なシリーズのメインキャラクターがしっかりと描かれているのです。お気に入りのキャラクターがどこにいるか探してみるのもおすすめです。

ラストの集合イラストは単行本を購入した人のお楽しみです。ななてる先生の愛と思いいれが詰まったシーンになっています。
おまけの入浴シーンが見られるのは単行本だけ?!
引用元:ワールドウィッチーズ 魔女たちの航跡雲 Contrail of Witches 3、著:ななてる、原作:島田フミカネ&Projekt World Witches、KADOKAWA / 角川書店、Kobo版、P186

オマケのほぼ全てのシーンで肝心なところが描かれている件。コレは貴重なギリギリのシーン。会話的にはむしろアウトかもしれない。
3巻で最終回を向かえたマンガ版『ワールドウィッチーズ』ですが、マンガ版ならではの恒例のオマケが存在します。それが、入浴シーンです。1巻はシャワー、2巻は湖での水浴び、3巻は温泉回です。なお、謎の光や湯気が仕事をしない仕様のため、媒体によっては見えてはいけないものが見えるようになっています。
『ワールドウィッチーズ 3』のおまけは百合度高め、そしてシリーズファンも納得の豪華ゲスト回になっていて、世界のトップエースたちの裸身を見ることができるのがポイントです。男性の視線は存在しないから恥ずかしくないもん。覗く人間がいたら覗く前に察知されて射殺されそうな勢いですが。
入浴シーン含みのおまけ回だけでなく、キャラクターを掘り下げるおまけマンガも収録されていて、ただのファンサービスにとどまらないのが心憎いポイントになっています。
まとめ
引用元:ワールドウィッチーズ 魔女たちの航跡雲 Contrail of Witches 3、著:ななてる、原作:島田フミカネ&Projekt World Witches、KADOKAWA / 角川書店、Kobo版、P176
『ワールドウィッチーズ 魔女たちの航跡雲 Contrail of Witches 3』は実在したエースパイロットの情報や兵器情報を物語にうまく落とし込み、現実の情報を知っていても知らなくても楽しめるよう工夫がなされています。
20歳前後を境に魔力が減少するというウィッチの宿命と向き合うエースたちの姿も印象的で、それぞれが育てた人物や横のつながりが物語に深みを与えてくれることになります。
電子版でもカーバー裏のおまけが収録されるなど、充実したおまけを満喫できるのも魅力です。幅広いタイプのキャラクターが出てくるため好みにヒットする可能性が高いこともポイントになっています。

月10冊程度、年間100冊超の漫画を読むフリーライター。非定期で友人と百合漫画を語る会を開きますが、ジャンルは不問で何でも読みます。