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また、同じ夢を見ていた(1) (アクションコミックス(月刊アクション))

「あなたにとっての幸せとはなんですか?」カラーで始まるこちらの本は、1コマ目に深いテーマを投げかけます。「君の肝臓を食べたい」でも有名な住野よる先生と桐原いづみ先生が手掛けた作品となっていまして、話の元となる「幸せとはなにか?」を主軸に話が広がっていきます。

2ページ目で黒猫と女の子が川原を歩いている絵が描かれていますのが、その女の子が本作品の主人公、小柳奈ノ花(こやなぎなのか)小学四年生です。探究心が強く独特の言い回しをする女の子ですが、その言い方に面白みを感じキャラ映えするため新鮮でした。

主人公が登場人物達と一人づつ繋がっていく形で話は展開、彼女自身の成長が促される内容で描かれています。それぞれ出会う人物の中にも物語が用意されていそうな設定になっているので今後の見どころになりそうですね!

あらすじ

学校から帰宅後、友達と遊ぶために外出する奈ノ花ですが向かう先は、アパートに住んでいる20代~30代に見えるアバズレさんという女性の家…。作品に出てくる黒猫との話を絡め次の目的地へ向かいます。

木々が立ち入った細い道を抜け一軒家で一人暮らしをしているおばあちゃん宅に向かい「幸せとはなにか?」を伺い帰宅、母親と会話し1話は終了。2話目では読書が好きな荻原君や絵を描くことが好きな桐生君が登場、1巻ではそこまで彼らにスポットは当たりませんが今後の伏線を残す形になります。

中盤以降になると廃墟となった建物で南さんとの出会いがあり、彼女とのやりとりを絡ませ見せ場を作ってくれました。話の最後に大きな余韻を残す事になるのですがそれが何なのかはまだ不明…。含みを持たせたまま持ち越し一巻は終了となります。

感想

主人公奈ノ花の言い回しは読み応えあり!!

引用元: また、同じ夢を見ていた(1)、住野よる、双葉社、/Kindle版、p169

主人公の言い回しにクセがある作品です。例えば「人生って虫歯と一緒よ、嫌なら早めにやっつけなきゃ」「人生は給食みたいなものだもの、好きなものがない時でもそれなりに楽しまなくちゃ」等々…わかるようなわからないような言い方にハマり、ページを捲る意欲をそそられた部分は否めません。

特に印象に残った場面として、物語を書く事が好きな南は自身は作家にはなれないと言った後のシーン。南の作品を読んだ奈ノ花が南は既に作家だと言います。「作家っていう人達は物語を読んだ人達の心に新しい世界を作るから作家って言うんでしょ?南さんは私の心の中にそれは素敵な世界を作ったもの」という発言。「幸せとは何か?」の答えが詰まっていました。

登場人物の設定が確立している!!

引用元: また、同じ夢を見ていた(1)、住野よる、双葉社、/Kindle版、p42

登場人物にそれぞれ何かしらの伏線を残しています。アバズレという表札をそのままにしている、アバズレさん。物語を書くのが好きな廃墟で仲良くなった女子高生の南さん。入り組んだ小道の先の一軒家で一人暮らしをしているおばあちゃん。幸せ?と聞かれて「幸せだった」という返答をします。

それぞれのキャラクターにそれぞれの「何か」を用意しています。これらの人達の背景は深くは紐解かれませんが、奈ノ花とどのように関わり、話が進んでいき「幸せとはなにか?」というテーマに結びつけていくのかが魅力の一つにもなっています。

要所・要所に組み込まれてる台詞は絶品!!

引用元: また、同じ夢を見ていた(1)、住野よる、双葉社、/Kindle版、p129

こちらの作品は終始、台詞で読者の心を揺さぶる印象を受けました。忘れかけた頃に落とし所を用意しています。そのタイミングが絶妙で高揚感からか、あっという間に読み終えてしまう程です。

子供の頃の感性に触れる錯覚を起こし、精神的成長を促されているという気にさえなってしまいます。幸せとは何か?というテーマに沿った登場人物一人一人の答えを今後は見つけるような気がするので、その人の幸せの答えが楽しみですね。

まとめ

引用元: また、同じ夢を見ていた(1)、住野よる、双葉社、/Kindle版、p124

「あなたにとって幸せとはなんですか?」誰もが一度は考えた事があるかもしれませんが、それは人によって違うものだと思います。一人一人違った答えの中にも人間味あふれる描写が綴られているのがこちらの作品でした。追いかける夢がある(あった)人は、是非読んで下さい。

世界観も日常系なので私生活で起こりうる出来事が話に織り込まれてます。親との関わり、やりたいことを公言出来ずふさぎ込んでしまう気持ち、学校での過ごし方、誰もが経験したことのある辛い思いを話に組み込んでるので、感情移入しやすいです。

「一人一人の幸せ」について用意されてる部分もあるため、自分の生き方と照らし合わるのも面白いかもしれません。1巻の最後には今後の展開に含みを持たせるような描写もあるのでタイトルでもある「また、同じ夢を見ていた」と、どう繋がるのか気になります。

元ニコ生主、現役ミュージシャン。ライターとしては新米。自身にとって無縁であった漫画とライターの世界に飛び込み、目下勉強中。

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