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コミック百合姫で連載されている女子中学生のゆるい百合を織り交ぜた日常生活を描く「ゆるゆり」のスピンオフ漫画が「大室家」です。本編に登場するキャラクターが脇役で登場し、ゆるゆり本編が好きな方でも楽しめる作りとなっています。

「大室家」で物語の中心となるのは、ゆるゆりで舞台となった七森中一年生の「大室櫻子」です。大室家は櫻子を含めて3姉妹が主人公と言って良いでしょう。トラブルメーカーである櫻子は学校だけでなく、家でもトラブルメーカーなのが笑えますね。

基本的にゆるゆり本編と同じように、ゆるく可愛らしい女の子たちの日常を描きますが、この作品の主役はやはり櫻子を中心とする大室家です。七森中以外にも、姉と妹の学校生活も描かれるので、新キャラクターがたくさん登場し、ファンには嬉しいスピンオフとなっていますね。

あらすじ

大室家には七森中生徒会に所属する大室櫻子と、その姉で高校生の大室撫子、小学生の大室花子が暮らしています。クールな撫子と次女の櫻子と違ってしっかりしている花子は、毎日のように櫻子に振り回されていました。

優秀な姉妹に残念な次女で構成される大室姉妹の日常は、アイスを食べた犯人を捜したり、髪型を変えて遊んだりと、何だかんだ言って大変仲良です。たまに平穏な日常生活がトラブルを起こしやすい櫻子のせいで滅茶苦茶になってしまいますが…。

姉である撫子の高校生活や妹の花子の小学校生活がたくさんの友人に囲まれ楽しく過ごしています。櫻子は相変わらず同級生の古谷向日葵らに迷惑を掛けながら、相変わらず大室姉妹はいつも通りに仲良く暮らしています。

感想

ゆるゆり本編より面白い!?スピンオフコミック

アニメ化や多くのアンソロジーコミックが発売される人気作品「ゆるゆり」のスピンオフですが、作品の完成度が非常に高く、本編のゆるゆりよりも「大室家」の方が好きな方もいるのではないでしょうか。私もゆるゆりが好きで「大室家」を読み始めましたが、正直な話をするとゆるゆり本編以上に単行本の発売を楽しみにしている位にハマってしまいました。作風はゆるゆりと変わらないはずなのに、大室家姉妹のキャラクター性が濃すぎることもあって読んでいて飽きません。

1巻では、ゆるゆり本編の主要キャラクターである「ごらく部」のメンバーが一人も出ませんが、スピンオフ作品のメリットでもある登場するキャラクターの人物像を掘り下げて姉妹たちの学校生活が描かれています。ですから新キャラクターが続々と登場し、スピンオフ作品とは思えない位に充実した漫画になっていますよ。なもり先生はゆるゆり本編でもモブキャラクターでさえ妥協せず描いていたので、今回も新キャラクターを含めて完成度が高い作品です。

大きな事件が起きる訳ではなく、事件が起きたとしてもそのほとんどが残念な次女の櫻子が原因です。「大室家」のサイクルとして櫻子がトラブルを起こし、優秀な撫子や花子が櫻子に呆れるという王道を展開しながらも、姉妹の絆が少しだけ感じられる描写が描かれています。ですが最後にすべてを持っていくのは櫻子で、本編と変わらずに活き活きと描かれていることにも笑えますね。コミックの帯に書かれていた「残念ながらこの中にひとり、残念な子がいます」という言葉に納得です。

表情や間の描き方が特に素晴らしい

櫻子の親友で犬猿の仲でもある古谷向日葵と妹である古谷楓が登場しますが、撫子や花子が古谷家と接しているのは非常に新鮮ですね。本編に登場するキャラクターとスピンオフのキャラクターが絡むとワクワクした気持ちになります。そこでも大室家と古谷家が凄く仲良く描かれていますから、ゆるゆりファンとしては嬉しい気持ちになれますよ。1巻で古谷家は少しだけしか登場しませんが、大室家にとって古谷家は物語に深みを増すためにも需要なキャラクターですね。

大室家の姉妹について感じたことをもっと述べると、普段は櫻子に翻弄される撫子や花子が嫌な顔をしても本心は櫻子のことを大切に思っていることが分かります。漫画自体にそういった要素をイメージさせるセリフはあまり出てきませんが、キャラクターの仕草や会話の間で、それを分からせることに成功していると思います。セリフで表現すると安直に映ってしまいがちなので、読者に対して様々なことを想像させることに優れた作品ではないでしょうか。

なもり先生は、信じられないほど速筆なことや、登場キャラクターを可愛らしく描くことが特に注目されます。しかし私は「大室家」を読んでキャラクターたちの心情をセリフに頼らず描こうとする姿勢を感じましたよ。これはキャラクターが作品で生きていないと出来ない芸当だと思いますから、素晴らしいと感じましたね。読み終えた後にも「あの時にあのキャラクターが見せた表情の意味は何だろう?」と考えることも楽しみの一つです。

ドキッとしてしまう描写もあります。

大室家の花子と撫子の学校生活も描かれますが、子供らしく可愛らしい花子の小学校生活の他に、高校生の撫子については、少し大人の濃いめの百合?を感じさせる描写が含まれています。まず花子ですが学校では良き友人に恵まれていますね。ツインテールで何かと花子に対抗心を燃やす高崎みさきも、本当は素直な所が可愛らしいです。花子が人格者で本人は望んでいませんが、担任の先生までもが「花子様」と様づけで呼ぶことが面白いですね。

大人の百合を感じる撫子についてですが、新キャラクターである友人3人たちの誰かと恐らく読者がドキッとしてしまうような付き合いを匂わす描写が存在します。電話越しに好きである思いを伝えている場面も存在し、一体誰と付き合っているのかを想像するのも楽しめます。1巻ではあきらかにされませんが、妹の花子は気付いているらしく、巻数を重ねることに謎は解けるでしょう。(本当は3人の友人の誰かでは無く、本当に彼氏がいるのかもしれませんが…)あ!もちろん櫻子は撫子が誰かと付き合っていることは全く知らずに元気に過ごしています。

大室姉妹の日常を描く作品ですが、女性同士の百合を匂わせる展開も存在します。特に上で述べたように高校生の撫子からはその要素を感じますね。彼女が電話越しで思いを伝える場面は、大室家1巻の名シーンに入るのではないでしょうか。セリフや表情、独特の間がそれまでの櫻子が中心としたコメディ展開とはまるで違うので、良い意味で異質のシーンだと感じました。撫子の今後の展開に非常に興味が湧きますし、百合を想像しながらにやけてしまいますね。

まとめ

ゆるゆりのスピンオフ漫画「大室家」の1巻について書きましたが、いかがだったでしょうか。この作品の特徴として、ゆるゆりのファンはもちろん、ゆるゆりを知らない方も楽しめる漫画だと思います。スピンオフというジャンルに分かれていますが、本編と同じくらいの完成度を誇る作品で、思わず何度も読み返したくなりました。なもり先生が、ゆるゆりで培った経験や技術を活かしたのか、全体的に読みやすいとも感じたこともこの作品を好きな理由です。

実は私はゆるゆり本編で櫻子があまり好きではありませんでした。いつもトラブルばかりを起こしますし、思いっきり向日葵に突っかかるので良いイメージが持てなかったのです。しかし大室家を読んで大好きなキャラクターになりました。櫻子は残念な子かもしれませんが、元気に走りまわる姿を見ていると元気を貰えますし、大室家の賑やかさは櫻子がいるからですね。このように本編で好みではなかったキャラクターを好きなるキッカケを作る場として、スピンオフ作品は優れていると思いました。

完成度が高い作品なので、ゆるゆり本編のようにいつの日かアニメ化をしてほしいですね。なもり先生による可愛らしいキャラクターが動いてセリフを喋る姿を是非見たいです。櫻子のトラブルメーカーっぷりや、大室家の姉妹の絆が見たい方、ちょっとドキッとする百合・恋愛を感じたい方にオススメできる作品です。もちろん萌え系漫画が好きな方や櫻子ラブの方、ゆるゆりが大好きな方にとって最高のスピンオフ漫画だと個人的に思っています。

オススメ度
★★★★★★★★★★ ★10

記事担当:キリンリキのしっぽ

レビューを通じて作品を知らない方にも興味を持っていただければ幸いです

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