近藤繭佳の腐女子っぷりが暴走しまくった前巻から引き続いて、修輔と繭佳の関係の辿り着いた場所を描いたのが「おちんこ」の第五巻です。前巻の繭佳は修輔が好きというよりも、自分のBL趣味を認めてくれる男の子が好き――という感じでラブコメ的には暗雲が立ち込める展開でした。

今巻では奈緒と彩葉の策略もあって、全員がザブーンランドに集結して繭佳編のクライマックスに突入していきます。そして、意外な――というよりも想像の斜め上をいく展開が用意され、物語は予想外の場所に辿り着きます。

私は前巻までの繭佳に対してヒロインの一人としてどうなのか――という感想を持っていたのですが、簡単に覆されてしまいました。近藤繭佳……最高です。天才ラブコメ漫画家草野紅壱の手腕をみよ! という感じで第五巻のスタートです。

あらすじ

奈緒と彩葉の謀略は成功し、みんなでザブーンランドに行くことになる。(第28話)いつものように修輔と繭佳を観察する奈緒だったが、繭佳の奇妙な視線に気付いてしまう。繭佳の視線は修輔の○○に集中していたのだった。(第29話)

修輔を観察していた彩葉は突然、人生において大切な三つの袋の話を始める。お袋、胃袋、そして……。(第30話)ザブーンランド名物メガウェーブの時が迫る。どさくさに紛れて修輔の乳首を狙う繭佳だったが……。(第31話)繭佳の狙いを見破った奈緒は、繭佳から内心を打ち明けられることになる。(第32話)

ザブーンランドからの帰り道、繭佳は修輔を呼び止め話したいことがあるという。(第33話)繭佳は修輔に想像の斜め上の告白を始める。ドン引きの修輔。そして駆け出した繭佳の眼前にはトラックが……。(第34話)

感想

腐女子・近藤繭佳が辿り着いた修輔への驚愕の感情とは!?

おちんこ第五巻は繭佳編の事実上の解決編と言えます。前巻では、繭佳は修輔に実際にBL行為をして欲しいだけなのではないか――という不穏な憶測が付きまとっていました。私は女の子が変態なラブコメは大好きなのですけれど、女の子が主人公に恋愛感情を抱いてくれないラブコメは苦手なのですよね。もちろん、作者の草野紅壱先生はラブコメの専門家であって、本巻において私の危惧を見事に吹き飛ばしてくださいました。彩葉の時もそうでしたが、本巻でもザブーンランドが決戦の地となります。

奈緒の友人の春ちゃんとひろりんがついてくるのもお決まりのパターンになりましたね。プールで恥ずかしがる繭佳の水着姿の披露となるのですが、ぺたんこ気味の奈緒と彩葉に比べ豊満でエロいスタイルなのでした。そして、修輔と繭佳がいちゃこら? するのを奈緒と彩葉が遠目から観察するといういつもの展開が始まるのですが、奈緒は繭佳の行動――というか視線に不自然なものを感じてしまいます。繭佳はここにきてついに恋心を芽生えさせ始めたのですね。一体何に?近藤繭佳は心の中で独白します。

「やだっ……なんでっ…なんでそんなにっ…」「――なんでそんなにきれいなピンク色なのよっ!!」「――っ高梨くんのっ」「乳首っ!!」「私もう我慢できないって!!」「好みの色よっ!」「ううんっ! 色だけじゃないっ! 大きさだって絶妙に私好みよっ!!」いやいや、何言ってるんすか……。そうきましたか。そーきましたかぁ。想像の斜め上の展開を用意してきます。前巻までBLギャグは冴えていたのですが、ラブコメとしてはどうなのかなぁと心配していたのがあっさりと吹き飛ばされてしまいましたよ。

辿り着いた斜め上の到達点。K点越えというかBL点越えというか

繭佳はメガウェーブに巻き込まれ、水中に沈んでしまった修輔の乳首を口に含もうとしていたところを、ずっと怪しんでいた奈緒に見つかってしまいます。そのことで、繭佳は今まで心の中で思っていたことを洗いざらい奈緒に告白することになってしまいます。奈緒がそれを綺麗に要約してくれます。「以前近藤先輩が言っていた「好き」っていうのは――ボーイズ・ラブを好きな近藤先輩を受け入れてくれるお兄ちゃんの事が好きって事だったんですね」

これは前巻までの展開なのですが、積極的な好きではなくて、消極的で消去法的な好きという感じですね。そして、自分の恋愛対象というよりもBLの妄想にうってつけの都合のよい男子という感じです。今巻のラスト、繭佳は今の自分の気持ちを修輔に告白します。「どうしても高梨くんを私のモノにしたいっ! 赤黒く歪に怒張した私のモノを高梨くんの花びらに捻じ込みたいっ」「私のモノを捻じ込まれた高梨くんがどんな声で鳴くのかどうしても聞きたいんだ…って…」

「私の心のちんこはこんなにも獰猛に脈動しているっていうのにっ――」「私の体にはちんこが生えてないのっ!!」「高梨くんの花びらに捻じ込んであげる事すらできないなんてっ!!」これまで繭佳は第三者として修輔をBLのおかずにしていたのですが、自分が男になって修輔を攻めたいという気持ちに目覚めたのですねっ。修輔はドン引きです。とは言え、今までと違って繭佳が本当に修輔のことを好きになったのだなと感じることができて私的にはよい展開だと思いましたね。

美少女だけど腐女子でかなりおかしい……近藤繭佳はアリかなしか

近藤繭佳のスペックは激高です。美少女度では奈緒、彩葉をしのいでいるように見えますし、黒ストが似合い胸も大きくスタイルがよいです。黒髪は処女性を感じさせ、修輔との関係性も同級生ということで甘酸っぱい青春の匂いがします。委員長で成績優秀で、彩葉が言う通り両親からも気に入られるタイプの娘さんですね。修輔との出会いや関係性も実態はともあれ、深夜に密会を重ねるというラブコメ的に刺激のある展開を作ってきました。

近藤繭佳はおそらくですが、作者としても強キャラにし過ぎた嫌いがあったのかもしれません。さて、こんな完璧美少女の唯一の欠点は過度にBL好きということでした。付き合う男の子にBLのへの理解を求め、その男の子を自分のBLの妄想に使うような女の子でした。現実の腐女子の人は彼氏との付き合いとBLの妄想は別腹にしている人がほとんどのようなので、繭佳のような女の子は例外なのかもしれません。最終的に繭佳は自分が竿役になって修輔を攻めたいというところまで辿り着いてしまいます。

こんな近藤繭佳は彼女としてアリかなしか? という疑問が浮かびました。答えは簡単に出てしまいました。アリです。確かに繭佳の欲望に応えるために尻穴を差し出す必要はありますが、それは男女の付き合いですし、お互いの欲望を聞きながら譲歩したりおねだりをしたりして進めていけばよいことでしょう。実際にSMでは女性が男性の花びらを攻めるなんてことは日常茶飯事です。その一線さえ受け入れてしまえば、近藤繭佳と付き合うのはめちゃくちゃ楽しいですよ。パラダイスが広がっていますよ。

まとめ

今巻の最後はまたしても衝撃的な展開となっています。おそらくあのまま修輔と繭佳が会話を続けてしまうと、おちんこ世界が壊れてしまいかねなかったのでああいう風にして邪魔を入れなければならなかったのでしょう。繭佳の告白に対し修輔は引いてはいましたが、元々SMに対する興味を持ち始めていたという設定もありました。他の男とBL行為をさせられるのは修輔の性癖からして無理だけれど、繭佳に尻を攻められる展開は少し時間はかかるかもしれませんが喜んで受け入れたはずです。

繭佳の気持ちは今まではずっと偽物の恋だったのですが、歪んでいるとは言え本物の恋になった瞬間、この作品にとって危険な存在になってしまいました。修輔が繭佳と付き合った場合のデメリットが全部消えてしまったのですね。繭佳編の展開は途中から色々と捻り出してこの着地点に落ち着いたのかなと推察していましたが、作者のあとがきによると一年前に着想を得たものなのだそうです。これをプロットとして最初から用意しているところをみると、草野先生は相当に才のある漫画家なのだなと思いました。

奈緒の設定などでもストレートに作らず、心の流れの論理をいつも一捻りしているのです。感情面での決着は本巻でほとんど済んだ感じですが、繭佳にトラックがドーンッでついに繭佳編も大詰めです。ここまで繭佳と付き合って、本物の恋心が芽生える瞬間に立ち会えたので終わってしまうのが惜しいくらいです。次巻からは新しいヒロインも登場するようですよ。奈緒と彩葉はいつまで手をこまねいて見ているのか……。近藤繭佳を越える強敵は現れるのか。こうご期待ですね。

オススメ度
★★★★★★★★★★ ★10

記事担当:カオス