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フーリッシュ! (百合姫コミックス)

『フーリッシュ!』はゆりひめ@ピクシブ連載のマンガで、初回から百合展開を否定するなど媒体的に「アリなの?!」という禁じ手をいくつも盛り込んだ作品です。

タイトルが『バカ(フール)』と掛けただけあり、「バカにならなきゃつまらない!」を貫き通すような勢いのあるギャグが特徴です。

打ち切りを臭わせる自虐的なネタを随所にちりばめつつ、本当に打ち切りで終わるなどメタ的な展開もポイントで、商業主義になりがちな世界に剛速球で石を投げるようなユニークな作品にもなっています。

あらすじ

生徒会、イベント実行委員会、監査委員会という三大勢力が争う三ツ葉学園。しかし、イベント実行委員会の面々は曲者ぞろいで勢力争いそっちのけで日々を楽しんでいます。

イベント実行委員会の面々に押されて生徒会が振り回されてしまったり、イベントが強行されたりとハプニングも続出することになります。

高校生活を満喫するために全力でバカを貫くイベント実行委員会は、生徒会や監査委員会の妨害を潜り抜けて学園生活を楽しみ続けることができるのでしょうか。

感想

第一話から連載媒体を否定する暴挙が凄い!

『フーリッシュ!』の恐ろしいところは、連載一話から百合姫という掲載媒体を否定するようなコマを入れてきたことにあります。主要キャラクターが1話から百合を否定する発言をしたマンガが他にあるでしょうか? いや、ありません

もちろん、女性同士の心の揺れとして、好きになるはずがないなど心情的な否定をおこなう作品はあります。が、『フーリッシュ!』の場合はメタ的な完全否定になっているため、「百合姫関連の連載ですよね?」と、読者に突っ込ませる内容になっているのです。

では、完全に百合が無いのか……といえば、毎回『むりゆり』ということで無理やり百合展開にもっていくコーナーを設け、必ずオチをつけるなど徹底しています。日常シーンから百合要素を見つけ出すことが困難なレベルになっていて、見つけられる人はよほどの上級者であると推察されます。

出版社を破壊する某ギャグマンガを模したシーンも収録されていて、パロディ色が強い作品として成立しているのです。

サービスシーンはかなり多め?

しらたま。しらたま。

男子がいないことが前提の健全なイラスト。本編との無防備さのレベルが異なるのがポイント。

ギャグ色が強く、1話から百合であることを否定するなどパンチが効いた『フーリッシュ!』ですが、サービスシーンはあちこちに挿入されています。擬人化美少女トリビアマンガ『カフェちゃんとブレークタイム』で文字通りブレイクしたポルリン先生らしく、露出だけでなくフェチズム押しの描写も多めにはいっているのが特徴です。

胸がフラットめのキャラクターがくつろぐ姿を描き、シャツから見える隙間を描くなどその筋の人にはたまらない描写もあります。扉絵にも健全なお色気が目立つものもあるため、本編のキャラクター像と比較してみるのもおすすめです。

なお、レビューを書いている中の人は監査副委員長(物語後半に登場)の黒髪ロング+ショートパンツ+黒タイツが弱点だったようです。サービスカットが少なくてもキャラクターデザインと設定で刺してくるケースがあるので油断がならないのです。

積極的に読者にネタを仕掛ける果敢さは健在

『フーリッシュ!』はかなり攻めたギャグスタイルが特徴です。もともとポルリン先生自体が読者の心理を読んだ上で様々な仕掛けをすることがうまく、『カフェちゃんとブレークタイム』でも的確なフェチズム描写や視点の誘導に手腕を発揮しています。

『フーリッシュ!』でも壮大な釣りが入っているのがポイントで、特にオマケページは最初から全力で打撃を加えてきます。目次を読んできた人には「本当に最初から読み直して」というツッコミが入るところです。

おまけマンガではどのようにして『フーリッシュ!』が生まれたかが語られていて、登場しなかったキャラクターや設定が数多く残っていることがわかるようになっています。ギャグも含めて攻めた反動が大きかったという見方もできますが、その分だけ続いていたらどうなっていたかが気になる作品にもなっています。

まとめ

連載当初から読んでいた作品でしたが、改めて本を通して読んだ印象は「これは商業主義に対するパンク(反骨)の作品だったのでは?」というものでした。連載打ち切りを初回からネタにするだけでなく編集側の意図と異なる表現を多用するなど、商業ではなかなか見ることができない作品になっているからです。

多様な表現を認めた一迅社と百合姫編集部の懐の広さにも驚きますが、その環境がポルリン先生に良い影響があったのではと推察することもできます。キャラクターデザインの数から考えても、のびのびと作品作りができていたことがうかがえるからです。

個人的には『売れ筋』や『ありきたりな設定』に反旗を翻しつつ、新たな方向性を探ったギャグ作品が『フーリッシュ!』がという気がしています。ただし、分析的に考えるよりも中高生のおバカなノリを楽しんでしまうのも方法で、楽しみ方の幅が広い作品になっているのです。

月10冊程度、年間100冊超の漫画を読むフリーライター。非定期で友人と百合漫画を語る会を開きますが、ジャンルは不問で何でも読みます。

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