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ごほうびおひとり鮨 3 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

美味しいものを食べると笑顔になりませんか? 私はなります。『ごほうびおひとり鮨』はふんわりジャンプ連載で、鮨の初心者女性がとびきりのお鮨を食べたらどうなるかを追った作品です。

お鮨に関する著書を持つ早川光先生が原作をつとめ、お鮨初心者である王嶋環先生が作画を勤めるという二人三脚(正確には編集部も含めた協力体制)で作られているのが特徴になります。Web公開のマンガで一部を除いて読むことができますが、単行本では製作秘話に当たるおまけマンガや早川氏の江戸前鮨の仕事についての解説がついているのが魅力です。

毎回登場する美味しそうな鮨や魚だけでなく主人公藍子の笑顔やとろけるような表情が魅力ですが、3巻は鮨好き美少女が加わるなど新展開を迎えていきます。

あらすじ

口コミサイトの『よだれ5リットル』氏のレビューを気に鮨に目覚めた藍子ですが、口コミの内容から『よだれ5リットル』氏と目星つけていた子安さんからは即否定されてしまいます。

『よだれ5リットル』氏探しは振り出しに戻るものの、口コミを信じれば美味しいお鮨に出会えるのは確か。今日も藍子は口コミを頼りに新しいお鮨屋さんを開拓していきます。

鮨店ごとの魅力の違いなどに目覚め始めた藍子はとあるお鮨屋さんで、美少女にナンパされることになります。果たして美少女の目的はなんなのでしょうか。

感想

秀逸な味の表現は相変わらず

萌えマンガに関するレビューで秀逸という表現はなかなか使わないのですが、秀逸としかいえないのが藍子の味の表現です。美味しいお鮨や魚の味の表現は難しく、なかなかピンとくる表現が出ないものです。

しかし、主人公藍子の表現はピタリとはまるものが多く、鮨好き、魚好きも唸る内容になっています。美味しい魚や鮨は、味や食感に特徴があるだけでなく、余韻も含めて楽しめることが多くなります。言葉に出来ない雰囲気を伝えることが難しいのですが、うまくニュアンスを伝えることに成功しています。

藍子の表情と相まって、文字でも美味しいものだというのが伝わってくるのが不思議です。何よりも、鮨の魅力を、感動を伝えたいという思いがにじみ出ています。ここまで真に迫ったマンガは少ないため、何度読んでもうなずいてしまうのです。

新キャラ登場でさらに華やかに?

『ごほうびおひとり鮨』は基本的に藍子視点で進行しています。第1話で彼氏にふられた藍子に男っ気はなく、出会うのは主に渋めの鮨店の店主です。イケメン、イケオジが含まれているのもポイントですが、タイトルどおり『おひとり鮨』がメインなので女性の同僚と出かけるようなこともありません。

ヒロインの藍子が可愛いから良いという話も、お鮨が美味しそうだから良いという話しもあるのですが、なんと3巻では新しい女性キャラが加わります。しかも、鮨好きの美少女で、おひとり鮨がメインというキャラクターなのです。新キャラ追加でアナザー視点に期待がもてるようになるだけでなく、表現の幅の広がりにも期待が持てることになります。

二人で食べにいくという展開も考えられますが、ただ二人で行くことに関しては『待った』がかかるのもポイントです。これは二人で同じお鮨を食べる楽しみ方と、一人で頼むお鮨の楽しみ方が異なるからです。ソフトな伝え方ながら物語の展開と深く関わっているのが心憎いポイントになっています。

関東圏に住んでいない人ならではの楽しみも

ごほうびおひとり鮨の特徴の一つになっているのが、実在の鮨店をマンガにしていることです。実際に食べものをマンガにしているからこそリアルな表現が生まれるのです。また、店舗の情報や実際に使われた予算の情報なども書かれているため、鮨入門のガイドブックとしても使える内容になっています。

ただし、藍子が住んでいるのが東京ということもあり、基本的に都内の鮨店の情報がほとんどになっています。3巻では神奈川県内の鮨店が出てきますが例外的な存在です。

一方で、鮨店に登場する魚は全国各地から厳選されたものが集まってくるのがポイントです。地方によってとれる魚と旬が異なるため、地元名産の魚介が出てくると地味にテンションが上がります。ちなみに作中で頻繁に登場する閖上(ゆりあげ)の赤貝は、日本一といわれる宮城県のブランド赤貝です。(宮城県民はかく語りき)

まとめ

ごほうびおひとり鮨は、女の子の笑顔と美味しいお鮨が主役のマンガです。登場人物の年齢層が広がったことで、それぞれのお鮨の楽しみ方が広がる可能性も出てきています。

お鮨好きがニヤリとするようなネタも随所に含まれています。『シンコは結構原価が高い魚です』などの注意書きはその通りで、頼めるタイミングが限られる上に手間隙がかかるのでどうしても原価が高くならざるを得ないのです。

高級な鮨店中心ではなく、おまかせで1万円を切る鮨店が紹介されているのもポイントです。内容を考えればむしろ安いといえるお店『しか』登場しないため、1店でも実際に足を運んでみると価値観が大きく変わるかもしれません。食と手わざで感動できるのが鮨の奥深さであり、贅沢な時間を味わうことができるからです。

月10冊程度、年間100冊超の漫画を読むフリーライター。非定期で友人と百合漫画を語る会を開きますが、ジャンルは不問で何でも読みます。

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