つぐもも (1) (アクションコミックス)

2017年春――、ついにファン長年の宿願であった「つぐもも」がアニメ化しました。この漫画はですね、もっと広く知られていているべきなのですよ。メジャー誌連載であれば十年前にはアニメ化していたであろうポテンシャルでしょう。

とにかくね、まず女の子がかわいいんです。メインヒロインの付喪神の桐葉さん。いわゆるロリババアというやつで、現在流行の「ばぶみ」を感じてしまいます。くくりちゃんは神様かわいい。黒曜さんは巫女クールおっぱい担当。そして後の巻で出てくる皇すなおが圧倒的。萌え系の漫画としても、雑誌の看板を張れるレベルの作品です。

でも、それだけじゃありません。「つぐもも」の凄さはそのバトル描写にあるのです。萌え漫画という領域を越えて、浜田よしかづはバトル描写において現在日本で五本の指に入る漫画家なのです。そんな「つぐもも」という漫画は一体どんな作品なのでしょうか。

あらすじ

両親を亡くし姉と二人暮らしをしている中学生・加賀美一也は、お節介焼きの委員長・近石千里にハリセンではたかれたりしながら普通の学校生活を送っていた。ある日、一也は屋上で髪の毛に襲われる。

それはかつらに所有者の想いが転じて生を得た「あまそぎ」という化物だった。屋上から転落し、死にかけた一也を救ったのは、母親の形見の帯が付喪神と化した「桐葉」という少女だった。(→第1話)一也の家で顕現した桐葉との生活が始まる。とっておきのサービスシーンはもちろん、お風呂。読者の想像を超えたエロいことが起こります。

(→第2話)宿題を忘れ、図書室で千里と一緒に取り組んでいた一也は、図書室に閉じ込められてしまったことに気付きます。桐葉が言うにはこれにもどうやら「あまそぎ」が関わっている様子。一也達は図書室から脱出するための方法を探り始めるが……。(→第3話、第4話)

感想

桐葉さんは、かわいい、エロい、格好いい

多彩な女性キャラクターが登場する「つぐもも」ですが、第一巻に登場するヒロインは付喪神の「桐葉」と委員長「近石千里」の二人だけです。萌え漫画としてそんな人数で持つのか? 持つんですよねぇ。それは何よりも付喪神の桐葉さんがあまりにも魅力的な存在であるからでしょう。彼女は一也の母親の形見である帯の付喪神で、真名は「あやさくら」といいます。実年齢はうん百歳で姿は美少女なのですから、「ロリババア」にカテゴライズされるキャラになるでしょう。

とにかく我儘で傍若無人。一也を下僕のようにこき使います。Mっ気ある男性にはたまらないですよね。でも、桐葉さんが本当に素晴らしいのは単なるドS美少女だからではないのですよ。桐葉さんは一也に強い好意を抱いています。それは一也に傷を付けた「あまぞぎ」を宿主もろともぶち殺そうとした第1話からも垣間見ることがきます。そして、好意を隠そうとしない正直さ、あけすけさは第2話で明らかになります。もうね、僕は第2話で桐葉さんにめろめろになってしまいましたよ。

落ちものヒロインが家の風呂場で主人公と鉢合わせをするという、萌え系漫画によくあるシュチュエーションがこの漫画でも展開されます。その時の桐葉さんの反応は既存の萌え漫画のキャラクターとは全く別のものでした。この漫画にはお色気はあれども、少年誌掲載らしくセックスシーンは存在しません。しかし、「まだセックスをしたほうが健全なのではなかろうか?」とふと疑問に思ってしまうようなシーンが出てくるのです。そしてそれは始まりに過ぎませんでした。次の巻からはもっとすごいですヨ!

委員長キャラ近石千里、最後の輝き

第1巻が他の巻と違うのは、委員長キャラの近石千里がきちんとヒロインキャラを張っているということです。メガネにおさげ、ハリセンで突っ込みを入れる真面目な委員長キャラの女の子――。10年前はメジャーな萌えキャラでしたが、近年はあまり見かけなくなってしまいました。千里はそれだけ「つぐもも」が古くから連載されている地層学的証拠とも言えるキャラクターです。

一也のことが好きで好きで、そのためについ色々とお節介を焼いてしまうけれど、正直に気持ちを伝えることができない――。一也の周りには肉食系の女の子が多いので、非常に不憫なキャラクターです。僕はこの作品において千里はそういう類の「不憫キャラ」という属性が与えられることによって、新しい萌えキャラとして再び光を放っていくような気がしています。とは言え、この第1巻における千里の活躍ぶりには目を見張るものがあります。まずは、第一話の最初のシーンで一也を夢から起こすのが千里です。

このシーンが象徴するように、千里というのは一也にとっての「日常」なのですよね。物語の進行上、一也には神々が関係する事件に巻き込まれてどんどん非日常の世界へと進んでいくのですが、戻ってくる場所と言えばやはり千里がいる学校世界なのだと思います。第三話、四話の「図書館と幼馴染」にて一也と千里は最も接近します。あー、千里さんよ。この時に一也を落としていないと、もうチャンスはなかったんだよ……。と言いたいところですが、ヒロインレースまさかの最後尾からの大まくりを期待してもいます。

至高の世界観、バトル描写、エロス描写

「つぐもも」の世界観を説明するのは結構骨です。第1巻では「古いものに魂が宿って付喪神になる」ぐらいの理解でいいのではないかと思います。元々は作者の同人誌が始まりであるらしく、大きな設定は細部まで作られているようです。1巻の中でも世界観を説明するシーンがいくつかあります。普通はあまりにも説明が多いと、読者もうんざりしてしまうのですが、「つぐもも」は素晴らしいバトル描写と、エロス描写がバランスよく取り入れられていて退屈することがありません。

特にバトル描写は、巻を追うごとに凄みを増していくのですが、第一話の時点で既に相当の迫力です。少年漫画のバトルシーンにおいて今もっともノッている漫画家ではないでしょうか。特に帯の変形が素晴らしいです。このレベルのバトルが書かれている漫画はもっと売れてしかるべきだと僕は思います。そして、エロス描写――。作者の浜田よしかづ先生は、読者へのサービスのためだけにお色気シーンを書いているのではないそうです。

お色気シーン自体が、作者が漫画を描き続けていくためのモチベーションになっているそうなのです。半ば自分のために書かれたお色気シーンが中途半端なエロさに終わるはずがありません。本当に強烈なフェチシズムを感じるエロさになっています。それが主人公とヒロインとの関係性も相まって、何度も繰り返し読んで反芻しても胸のドキドキが抑えることができません。本巻のおまけには「ぶるまくら」なる謎の概念も登場します。いやぁ、エロいなぁ。

まとめ

では「つぐもも」はどのような人にお奨めできるでしょうか。率直に言うと、萌え漫画ファンは必ず読んでください。女の子のかわいさは一級品です。「つぐもも」は全体のジャンルでいうと「少年誌バトル漫画」なのだと思いますが、萌えだけに絞っている漫画よりも萌えます。特に一巻においては桐葉さんのかわいらしさ、強さ、エロさを繰り返し胆嚢してください。「桐葉さんは俺の主!」と言いたくなると思いますよ。ラブコメ・エロコメファンは読むべきでしょう。

というかこの漫画の半分はそういう人達のために存在するのですから。桐葉さんとのお風呂シーンはやばい。量産型のエロ漫画ではなく、そこには確かに気持ちの動きというものがある。セックスはしないけれど、射精はしてしまう――。それがこの漫画における制限です。僕は少年誌における延々と続く寸止め漫画に常にもやもやとさせられてきました。でも、本作は発射までは許しているのです。主人公の一也が女性に対して受け身なので、Mっ気のある男性なら特に素晴らしい読書体験ができると思います。

そして、全ての漫画ファンは「つぐもも」を読むべきです。「つぐもも」における漫画技術は現代漫画の最先端を行っています。少しマイナーな雑誌に連載されているからといって見逃す手はありません。特にアニメ化された今というのが全巻通して読み始める絶好の機会と言えるでしょう。まとめると、「つぐもも」は現代の最高のバトル漫画の一つであり、最高の萌え漫画の一つであるということです。(レビューが★9個なのは第1巻だけを考慮してのことです。その後を含めると当然★10になります)

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9

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