美人女子大生家庭教師・松代莉智香の隠された真実とは一体何だったのか……! 「お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからね」第八巻です。前巻の最後で莉智香の弟らしき人物が登場し、莉智香の秘密に近付いている感じがありました。

今巻は冒頭から莉智香と弟らしき人物とのただならぬ関係が予感される描写が入っています。一体これはどういうことなんだ! 一方、修輔は修輔で追試の追い込みの最終局面に入っています。繭佳と莉智香によるもう特訓を経て、追試の本番に挑んでいきます。

莉智香編もこれで終わりと思いきや、街中であまりにも今までと雰囲気の違う莉智香と再会した奈緒は、莉智香の家庭の事情をきくことになります。そこで奈緒はあまりにも自分の身につまされる話を聞かされてしまうのでした。莉智香編には一体どんな結末が待っていたのでしょうか? おちんこ第八巻スタートです。

あらすじ

繭佳は何とか説得されて修輔に再び勉強を教え始める。それを見て望遠鏡で監視していた彩葉が動き始める。(第50話)莉智香と彩葉の協力関係が崩れるが、彩葉は莉智香から今まで奈緒がしてきたであろうことの情報提供を受ける。(第51話)修輔の試験に向けての最後の追い込みが始まる。(第52話)

自己採点でなんとか合格が判明した修輔。莉智香先生は「特別なご褒美」をくれると言うのだが、かなり悪質な手口を使ってきて……。(第53話)奈緒と彩葉、春ちゃんとひろりんの四人は街で男の人と腕を組んだ莉智香に出会う。その男の人というのは莉智香の弟だそうで……。(第54話)

莉智香は奈緒がしてきたことを全てお見通しだった。一方、修輔は家で奈緒のパンツを目の前にして葛藤していた……。(第55話)莉智香の事情を全て聞いた奈緒は、あれが自分達の未来だと想像すると怖くなってしまう。(第56話)奈緒の修輔への想いが回想で綴られる。(57話)

感想

莉智香編の結末。修輔の追試の結果は……

前巻のラストは弟らしき人物と不穏な雰囲気のまま終わっていたのですが、本巻の冒頭はその続きから始まりました。えーと、なんか姉弟とは思えないほどにイチャついているのですが、二人の関係性は一体どういうものなのでしょうか? 一方、修輔に正体がバレてしまった繭佳は、恥ずかしさのあまり逃げ出そうとしますがそうは奈緒が許しません。外からドアを押し付けて、出られないようにしてしまいました。修輔は紙袋を再び繭佳に被せて「ごっこ」を受け入れます。繭佳はよい意味で馬鹿キャラですねー。

そして、当然のように望遠鏡で修輔を監視していた彩葉が動き始めます。繭佳編の時もそうでしたが、今回も彩葉はピエロ的な立ち回りに終始することになっています。「攻める幼馴染」という強キャラのはずなのですが、幼馴染は恋愛レースで絶対に勝てない――というジンクス通りになってしまいそうですね。本人も「もう幼馴染みってだけじゃ奈緒ちゃんに太刀打ちできないっ!! 何かっ! 何か付加価値を彩葉に付けないとっ!!」と本人も焦っています。早い段階での強化が待ち望まれるところですね。

莉智香と繭佳との懸命の勉強の末、修輔は何とか追試を乗り切ることができました。そして、ついに待ちに待っていた女子大生松代莉智香からの「特別なご褒美」が修輔に与えられることになったのです。いや~超期待していたところだったのですが、莉智香はこれをくっそ汚い方法で乗り切ってしまいます。汚い! 大人、まじで汚い! 今までの生徒も同じ方法で乗り切ってきたようなのですが、性欲が爆発して後先考えなくなった生徒はいなかったのでしょうか?

莉智香の真実。自分の状況を重ね合わせる奈緒

これで修輔と莉智香の関係はおしまいのようですね。結構あっさりとした終わり方で、今までとは違って莉智香と修輔の恋愛模様を描くという構想ではなかったことがはっきりしました。では、草野先生は莉智香編を通して一体何を描きたかったのでしょうか? 修輔の追試が終わった後、奈緒は道でばったり莉智香と再会することになります。再会した莉智香は男性と手を組んでいて、垢抜けした美人になっていました。で、手を組んでいた男性は、莉智香の弟で由彰というのだそうです。

奈緒は喫茶店に入り、莉智香の話を聞くことになりました。莉智香は奈緒が今まで修輔の性的嗜好を操っていたのではないかと指摘します。あなたは超能力者ですかっ。そして、莉智香の奈緒へのアドバイスは「修輔くんを他の誰かに取られたくなかったら――」「――さっさと既成事実を作ってしまいなさいっ」というものなのでした。家庭教師の時は真面目ぶっていましたが、実は今まで出てきた中で一番壊れているキャラかもしれませんね。

莉智香は、奈緒が修輔の性的嗜好をコントロールしたように、弟の由彰をコントロールし攻略してものにしたようです。そのために、大学では心理学を専攻し、たくさんの男子生徒の家庭教師をして研究をしたらしいのです。まぁ、奈緒と修輔の関係は義理の兄妹なのですが、莉智香と由彰の関係は血の繋がったガチの姉弟なのですよね。あまりにもあっさり、さばさばと話す莉智香に恐怖すら覚えます。繭佳のような変態さは許せるのですが、莉智香のそれはちょっと怖いですね。

語られる奈緒の内心。奈緒の決断は……

莉智香編は、修輔と莉智香のラブコメを描くのではなく、莉智香とその弟の関係を奈緒に見せることで、奈緒に自分達の関係を考えさせる――という役割を持っているようですね。ただ、莉智香は血の繋がった姉弟で社会的に許されない関係という縛りがありますが、奈緒と修輔にはその縛りはありません。二人の関係にハードルが作られているのは、ひとえに奈緒が自分が修輔の実の妹ではないということを知っていることを黙っているからなのですね。

そしてついに、奈緒の過去の物語――修輔を好きになった時のお話が回想されていきます。最初のほうは心温まる物語だったのですが、かなーり早い段階で修輔は奈緒を性的な対象として認識し始めています。奈緒がそれに気付きながら、修輔を観察してニヤニヤし始める行動も相当早い時期に始まっていますね。そんな奈緒に修輔の母が言います。「母さんねっ…そろそろ修輔にも話してあげていいんじゃないかって思うんだ…」確かにその通りなんですよね。

幼馴染みの彩葉は別として、繭佳編や莉智香編における修輔の迷走は奈緒がその事実を修輔に教えていないがために起こった出来事だったとも言えます。奈緒はそれを修輔との恋愛のスパイスとして見ているのですが、立ち位置的にはちょっとズルい感じですよね。恋愛に真面目に立ち回っているはずなのに、裏目ばかり引いてしまう彩葉がかわいそうにもなってきます。まぁ、物語の構造的に奈緒が話してしまうとほとんど最終回ということになってしまう――という大人の事情も絡んでいるのかもしれませんが。

まとめ

第八巻では莉智香編のラストが描かれていきました。結論としては、莉智香はこの漫画における攻略可能ヒロインではなかった――ということになります。マルチエンディング方式であったとしても、パラレルワールドがあったとしても、絶対に主人公とはくっつかないキャラクターだったということですね。では、莉智香編を通して草野先生は何を描きたかったのでしょうか? 一つは純粋に女子大生家庭教師がオナ禁とご褒美という手法を使って主人公に勉強をさせるというアイデアの面白さでしょう。

もう一つは、やはり莉智香編を通して奈緒と修輔の関係を描きたかったということなのでしょうね。そして、莉智香と彼女の弟との関係を描くことで、奈緒と修輔の関係と対比させようという目論見があったのだと思います。ネタバレとしては衝撃的でもあったのですが、結果として莉智香編全体を通してみるとラブコメ成分が薄かった嫌いがありますね。漫画としては面白いのですけれど、ラブコメとしては繭佳編よりもドキドキさせてくれる展開が少なかったように思います。

さて、奈緒の回想も挟まって「おちんこ」も大きく動く気配が漂ってきました。実際に奈緒が動いてしまうと最終回が近くなってしまうのでしょうから、間に新ヒロインを挟むことになるのでしょうか? また、自分の出遅れを自覚した彩葉の逆襲も忘れてはいけません。幼馴染は負けキャラというこの手のラブコメにおける鉄則を跳ね返すだけの何かを彩葉は見つけてくることができるのでしょうか? 次巻から始まるであろう新章に期待します。

オススメ度
★★★★★★★★☆☆ ★8

記事担当:カオス