「かてきょん1」は、まんがライフで2010年から2014年まで掲載されていた、あづま笙子先生による4コマ漫画です。タイトルにある通りこの作品は、勉強が苦手な高校一年生の「高塚らいら」を家庭教師する話が中心となります。

しかし、作品を象徴するものとして小学5年生の「白川カムイ」少年が家庭教師となり、女子高生である高塚らいらに勉強を教える珍しい設定があります。らいらの妹でカムイの同級生である「高塚ななか」が姉の頭の悪さを心配して、カムイ君に家庭教師を頼みます。

「年の差」から来る照れやカムイ君とらいらの関係性をニヤニヤしながら見守る…。そんな楽しみ方ができる作品で、家庭教師以外でも日常系作品の醍醐味である春夏秋冬のイベントも描かれているので、ほのぼのと読める作品です。

あらすじ

高塚らいらは花も恥じらう高校一年生。明朗快活でスポーツ万能、ご近所からも好かれる性格をしていますが、彼女には大きな問題がありました。それはとっても頭が悪いことです。学校のテストでは一桁点数が当たり前で、小学5年生の妹にも心配されていました。

らいらの妹である「高塚ななか」は、そんな姉の頭の悪さをどうにかしようと、同級生で勉強が得意の白川カムイに家庭教師を頼みます。らいらは「小学生に教わるなんて」と最初は驚きますが…。高校生の問題集も全問正解する頭の良さを見せつけて、らいらの小さなプライドは崩れるのでした。

家庭教師を引き受けたカムイでしたが、集中力が無く勉強ができないらいらに四苦八苦してしまいます。根気強く勉強を教えていく中で、次第に2人には信頼関係が生まれていき、少しづつではありますがテストの点数も上がっていくのでした。

感想

小学生が女子高生を家庭教師!?

「かてきょん」は、女子高生が小学生の男の子に勉強を教えてもらうという珍しい設定の4コマ漫画です。頭の悪い女子高生「高塚らいら」と勉強が得意ですが勉強がずば抜けて出来る以外は普通の小学生「白川カムイ」の2人が主人公と言って良いでしょう。集中力が無くて勉強の途中で寝てしまう高塚らいらの姿や、その姿に呆れつつもらいらのために問題集を作り、どうしたら勉強が出来るようになるのか真剣に考えているカムイ。どっちが小学生か分からないシーンが可笑しいです。

注目してほしいのが、「高塚らいら」と「白川カムイ」の関係性です。2人は女子高生と小学生で得意なことも不得意なことも全く違いますし、あえて言うなら優しい所しか共通する所がありませんが、恋愛関係ではない微妙な距離感や関係性が素晴らしいのです。2人は直接言葉にはしませんが、お互いを大切な存在だと認識していますし、傍からみればお似合いのカップルのようにさえ映ります。決してイヤらしい意味では無くて、程よいバランスで仲が良い姉弟のようにも見えますね。

2人の関係性は仲が良いだけではありません。例えば、手がふれただけで赤面してしまう所や、らいらの浴衣を見てドキッとしてしまうカムイ君など、思わずニヤニヤしてしまう展開が多いのです。らいらもおバカですがしっかりとお姉さんにように振る舞っているので素敵ですね。萌え系の作品では肌色が少なく、読者が物足りないと感じてしまうかもしれませんが、そういった気恥ずかしさが描かれる作品は貴重だと思います。1巻からそのよう描写が多いですし、春夏秋冬のイベント事にらいらとカムイ君の絆が強くなっていく様子も微笑ましいです。

微妙な距離感をニヤニヤしながら楽しむ

この作品はいわゆる「年の差」のカップリングを楽しんだり、らいらとカムイ君の関係性を見守るような漫画です。肌色が強かったり、家庭教師という単語から想像するようなアダルト的展開は全くありませんから、良い意味でも悪い意味でも人を選ぶと思います。基本的にはのんびりとした雰囲気を持つ作品なので、驚愕するような展開はありませんし、2人の恋愛的な要素も1巻では描かれていません。年の差の恋愛を見たい方には物足りなさを感じてしまう方が多い気がしますね。

作品の肝である小学生に高校生が勉強を教えてもらう設定にも好き嫌いが分かれると思います。考えようによっては非現実的に映るかもしれず、作風にも合う・合わないがあるでしょう。決してギャグシーンが優れている訳ではないですし、春夏秋冬のイベントシーンも数ページで終わってしまうので、「もっとイベントシーンが見たい!」と感じたことがあります。メインは勉強を教える家庭教師のシーンなので、仕方がないことかもしれませんが。

また「かてきょん」は全3巻なので、続きが読みたくても読むことが出来ない欠点がありますね。素晴らしい作品なだけに、もっと続きが読みたかった気持ちがあります。しかし巻数が少ないので、直ぐに読み終わることができるメリットも存在しますね。欠点としては「かてきょん」のメディア展開はもう終了している点です。完結している漫画作品ですから新作も発売されることは難しいと思います。個人的に思った欠点を挙げてきましたが、欠点が気にならないほどに名作の4コマ漫画だと思いますよ。

年齢差のあるカップリングが好きな方にオススメ

著者であるあづま笙子先生は、この作品が初の単行本作品らしいですが完成度はかなり高いです。絵柄も1巻から安定していますし、キャラクターたちが丁寧に描写されていますから読みやすいのです。特に主人公のカムイとらいらのちょっとした描写が上手いですね。年の差がありますが、作中の挿絵を見ても良い関係性を築いていることが分かるでしょう。らいらの天真爛漫な行動に振り回されるカムイ君があたふたする様子が面白い(笑)

主人公「高塚らいら」「白川カムイ」の2人以外でも魅力的なキャラクターがいます。らいらの妹でカムイに家庭教師を頼んだ元凶の「高塚ななか」は天真爛漫な姉と違って冷静な性格をしています。策士な面もあって、カムイとらいらの関係をからかって遊ぶ姿が小悪魔のようです。またらいらの友人である西岡あやめも「高塚ななか」のようにカムイ君をからかって楽しんだりしますが、らいらの大切な友人として魅力的なキャラクターです。

カムイ君の友達たちは家庭教師のある日に「今日は女子高生の日だ~」とからかいますが、良い子ばかりですね。「かてきょん」に登場するキャラクターは基本的に優しいので、安心して読むことがきる作品だと思います。絵も可愛らしいですし、カムイ君は小学生ならではのませている態度ではないことも物語を面白くする要素としてプラスに働いています。雨の日も雪の日も律儀に家庭教師をするため、らいらの家に向かう姿が健気で素晴らしいです。

まとめ

「かてきょん」は表紙の2人に惹かれて読み始めた作品です。執筆者は年の差のカップリングが好きなので、「かてきょん」は堪らない作品ですね。凸凹コンビに見えて凸と凹が上手くかみ合っていますし、恋愛関係ではない微妙な距離感が素敵。本人たちは自覚が無いでしょうが、私は大変お似合いだと思っています。恋愛関係を抜きにしても特別な信頼関係が生まれていて、その関係性を見ているとニヤニヤして和むことができるでしょう。

女子高生を小学生の男の子が家庭教師するという設定からはどうしてもアダルト的な要素を期待する方が多いです。しかし「かてきょん」には、アダルト描写はありませんし、微妙な関係性や凸凹コンビである主人公たちを見てニヤニヤする漫画作品ではないでしょうか。小学生のカムイ君も真面目で好感が持てるキャラクターですし、らいらが無意識に近づくだけで赤面する姿も、何だか良いな~と思います。らいらもカムイのことを信頼している様子が伝わってきます。

「かてきょん1」の感想を書きましたが如何だったでしょうか。年の差のカップリングがある日常系漫画は少ない印象があり、かてきょんは希少な4コマ漫画だと感じています。直接的な肉体関係や露出描写がなくても、距離感や接するのが恥ずかしくて思わず赤面してしまう…、そのような描写で魅せる作品として執筆者は気に入っている作品です。残念ながら知名度はあまり無い作品のようなので、もっと「かてきょん」の素晴らしさや魅力を多くの方に知ってもらいたいですね。

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9

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記事担当:キリンリキのしっぽ