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桐葉さんが幼女化し、新ヒロインのくくりも幼女でお付きの巫女の黒曜さんが熟女だったために萌え嗜好に偏りが生じてしまった「つぐもも」の第三巻です。本巻ではようやく山が動きます。そう、全力の近石ちさと回がやってくるんです! ちさとは幼馴染は必敗というジンクスを打ち破ることはできるのでしょうか?

そして、後半はつぐももの短編エピソードの中でも屈指の出来を誇る「手紙」回がやってきます。短い話の中で次々と意外な真相が明らかになっていくスピード感に興奮です。バトルシーン表現もこの回は冴えわたっていますね。

ギャグからシリアスまで、つぐももの様々なストーリー展開を見ることのできる一冊です。最後のほうで一瞬姿をみせる本作の真・ヒロイン登場までの前半での大きな盛り上がりのある巻ですね。それではつぐもも第三巻のスタートです。

あらすじ

近石ちさとに振られた大門ひろしは、ギャルゲーのつぐももを使ってちさと攻略を始める。一也は大門の野望を阻止できるか?(第12話)ちさとを奪い返すためには、略奪コンボを達成するしかない!一也はちさと攻略のための奥の手を出す。(第13話)

深刻な話をする桐葉とくくりだったが結局、幼女姿らしく公園で遊ぶことになる。(第14話)2年前に死んだ名護えいこという女生徒の幽霊が出没する騒ぎがあり、生徒会の依頼で一也たちは調査に乗り出した。新聞部の奈中井ななこも調査に合流する。(第15話)

一也たちの目の前に名護えいこが現れる。桐葉はそれを「かみおに」のあまそぎと見抜いた。そして奈中井ななこに関する意外な事実が明らかになる。(第16話)名護えいこの自殺の意外な真相が明らかになった後、一也たちは強力なあまそぎ「かみおに」と交戦状態に入る。(第17話)

感想

ギャルゲーのあまそぎ登場! ちさと、あんたがヒロインだ!

来ましたねェ。何がって……幼馴染が天下を獲る時がですよっ! 第12話第13話は丸々、幼馴染の委員長・近石ちさと回なのですよ。シリーズタイトルは「思い出と幼馴染」です。思い出ですよ。幼馴染が他のキャラに対して唯一持つであろう最強の武器をここで投入してきました。エピソードの冒頭、ちさとは屋上で大門ひろしから告白されるのですが「好きな人がいるんです」と断ってしまいます。えー、ちさとの好きな人って誰だったかなぁ~(すっとぼけ)。

ふられた大門はギャルゲーのあまそぎを手に入れ、ちさと攻略に着手していきます。第12話の表紙は「人外恋愛シュミレーションつぐもも~今日からお前は恋の下僕じゃ~」となっていて、ギャルゲーのパッケージみたいになっているところが芸が細かいですね。学園全体がギャルゲーのシュミレーションになってしまった世界で、大門は着実にちさとを落としていきます。一也はちさとを守るために、大門より先にちさと攻略に手を付けていくのですがどうにも上手くいきません。

最後になんとかちさと攻略のてがかりを掴むのですが、上手く伏線が貼られていて感心しました。私としては事件解決後の保健室でのエピソードが気になります。あまそぎ化していたギャルゲーは実はアダルト版だったんですよね。アダルト版ということはつまり、攻略完了後は……(自粛)なわけです。ここでのちさとの描写は「ちさとさんもやればできるじゃないですか!」というレベルでかわいく、色っぽかったです。幼馴染で委員長という属性がお好きな方はこのエピソードは必見ですね。

つぐもも、前半戦のハーレム総評

近石ちさとが一也攻略寸前までいったところが、つぐももハーレムの前半戦の終わりだと私は考えています。今現在、この時点におけるハーレム要因は、桐葉さん、くくりちゃん、黒曜さん、ちさと……番外でねーちゃんといったところでしょうか。やはり、桐葉さんと一也の関係を一番濃厚に描いていますが、ここまでで幼馴染のちさとがかなり優遇されていたという事実を知って驚きました。学園を舞台としたあまそぎ退治のお話では、ちさとをヒロインとしておくと上手く話が進むということなのでしょう。

くくりちゃんと黒曜さんは出てきてまだ間もないというだけではなく、立ち位置としては一也の恋人候補じゃなくてお色気要因になっていますね。黒曜さんはクールでエロいんですけど、頼めば誰にでも許してくれそうですし、くくりちゃんはマスコットキャラ的な立ち位置になりつつあります。二人とも魅力的なのですが、ラブコメの中心にはきそうにないですね。桐葉さんが幼女化したことによってロリ、ロリ、熟女、幼馴染というハーレム構成になってしまい、何かが足りないような気がしてしまいます。

そうですね。同年代のヒロインが足りないんです。ちさとも同年代のヒロインなのですが、幼馴染ということで物語的な新鮮感を生みにくいのです。というか、ちさととくっついてしまえば話が本筋に入る前にラブコメ的にハッピーエンドですからね。やはり同年代で、一也と違った価値観を持っていて新しい世界を見せてくれるようなヒロインの登場が待ち望まれているのです。前半戦のつぐももハーレムは確かに強力だったのですが、あともう一歩、もうひと押しが足りない感じでしたね。

完成度の高い「手紙」エピソード

今巻の後半は、つぐももの短編でも完成度の高い「手紙」のエピソードになっています。ギャグ調が強かったちさと回とはうってかわって、シリアス度強めのお話になっています。2年前に死んだ名護えいこという少女の幽霊が現れる騒動があり、一也に解決の依頼がくるというのが出だしです。付喪神がいるのだから幽霊がいても不思議じゃないなと思っていたのですが、桐葉さんは「ワシの知る限り幽霊なんてもんはおらん」と言っています。ここらへんの世界観もしっかりと作っているんですね。

物語は二転三転しながら、意外な事実に辿り着きます。その説明はこのスペースでは書き切れないのですが、結論を言うと「あまそぎこえー」というものでした。事実が明らかになったところで、本巻の最大の見どころである「かみおに」と一也のバトルが始まります。かみおにがその本領を発揮した時、桐葉さんでも「逃げろかずや」というほどの力を出します。でも、本作の主人公・加賀見一也はそんなことで逃げるような男の子ではありません。

力を貯めてグーパンチを繰り出すかみおにの姿は、「ハンター×ハンター」のゴンさんの姿を彷彿とさせます。いつものことながら、あまそぎの造詣が素晴らしいですね。訓練の成果を出して、一也の成長がよくわかるのもよいです。そして、決め技はやっぱり「らせんつづり」ですね。らせんつづりの描写も回を重ねるごとに上手くなっているように思います。こうして、手紙エピソードが終わったのですが、かみおにと一也の戦いを木の上から見ている少女がいました。なんかキリッとして怖い顔をしていますね。一体、彼女は誰なのでしょうか?

まとめ

世の中に数いる幼馴染キャラの中でも比較的戦闘能力が低そうなちさとが、ここまで健闘するとは思いませんでしたね。早く私の好きな漫画の中から「幼馴染は負け犬で、噛ませ犬で、最終的に主人公と結ばれることはない」という法則を破るキャラクターに出てきてもらいたいところです。それにしても第13話のラストシーン辺りのちさとはエッロいですね。通常時からこれくらいの力を発揮していれば、一也争奪戦でもいいところまで行きそうなのですが、そこまで積極的なキャラクターじゃないですからね。

「ちさとエピソード」と「手紙エピソード」以外にも、第三巻では日常の幕間劇や一也の両親の馴れ初めの話が挿入されていて、つぐももの世界観・人間関係を作り上げています。加賀見家の男は二代続けて桐葉さんの下僕なのですね。回想の中で大人の女バージョンの桐葉さんが出てくるのですが、私的には少女バージョンと同じぐらい好きなキャラ造形でした。公園に仮作りしていた神社が完全に壊れて、くくりと黒曜さんが一也の家に居候するようになるのもハーレム漫画として大正解です。桐葉さんとくくりの友情が垣間見えるのもいいですね。

第三巻まででつぐももも一区切りで、次の巻から新しいステージに入っていくという感じですね。この辺りまででも地味に評価が高かったつぐももなのですが、今巻のラストに顔見せをし、次巻からメインとして前面に出てくるキャラクターの登場で人気がヒートアップしていきました。初登場シーンを見ても、全然可愛く感じないんですけど不思議なものです。彼女が本当の魅力を発揮するのは、実はまだまだ先なのですが、そこまで辿り着いた時に読者が貰えるご褒美には物凄いものがあるので、つぐもも読みの人々は最高到達地点である六巻までは読むことをお奨めします。

オススメ度
★★★★★★★★★★ ★10

記事担当:カオス

主に青年誌のラブコメ・エロコメを好む30代男子。「変女」推し。

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