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ぷらんつ・がーる (ぶんか社コミックス)

表紙の女の子につられてマンガを買うと、ときどき癒し力が半端じゃない作品に出会うことがありますね。あづま笙子先生が描く「ぷらんつ・がーる」も、疲れた心に癒しを与えてくれる良作です。

ぷらんつ・がーるは、大切に育てていたラベンダーの鉢植えがある日突然カワイイ女の子になってしまったら…という設定の作品です。私はこの設定を聞いたとき「男の夢かよ」と歓喜し、即効でコミックスの購入を決めました。エッチなマンガだと勘違いしたという話は内緒。

そしてぷらんつ・がーるを読み終えた今、私が抱いている感想は「こんな優しい世界に住みたい…」でした。こんなに一切の悪意が存在しないマンガが存在するのかってレベルです…本当に癒された。ウチで育ててるアボカドもカワイイ女の子になってくれないかなぁ…今回はそんなことを思わされてしまう癒しのマンガ、ぷらんつ・がーるのレビューをしていきたいと思います。

あらすじ

雨野 佑(29歳)はデザイン会社に勤める普通の男性だが、「植物に話しかけてしまう」という変なクセを持っていた。最近では亡くなった祖母からラベンダーの鉢植えを受け継ぎ、残業時の話し相手としてラベンダーを会社に飾って大切に育てている。

「話し相手」といっても植物が返事をしてくれるわけではないので、佑が一方的に話しかけるだけ…のはずだった。ところがある日、大切に育てていたラベンダーが人間の女の子の姿になり、佑に「恩返しがしたい」と言い始める。

その日から、人間になったラベンダーの「サキさん」と佑の不思議な同居生活が始まった。サキさんが人間らしくなろうと努力したり、サボテンまでしゃべり始めたり、会社の人にバレそうになったり…いろんなドタバタに巻き込まれつつ、人間の男性とラベンダーの少女の間に絆が芽生えていくのだった。

感想

ラベンダーの女の子と過ごす平穏な日常

引用元:ぷらんつ・がーる、あづま笙子、ぶんか社、第1刷、扉絵

ラベンダーの花が人間の女の子に変身してしまった!…という設定だけを聞くと、なんとなくファンタジー系の作品を想像する方も多いのではないでしょうか。ところが、ぷらんつ・がーるはそれほどファンタジー色の強い作品ではなく、どちらかと言えば平凡な人々の生活を描いた「日常系」の作品です。

変わった設定といえば、「ラベンダーの花が女の子になった」「他の植物とも少しだけ意思疎通が図れるようになった」という2点くらい。少年マンガなんかにありがちな「元の姿に戻るために奮闘する」だとか「人間に変身できた理由を探す」といった大それた目的は一切ありません。

この作品にあるのは、「大切に育てていたラベンダーが女の子になっちゃったので、一緒に暮らそう!」というシンプルな目的だけ。なんというか「複雑な設定なんて用意しなくても、マンガって本来このくらい気軽に読めるものでいいよな…」と再確認させられる作品でした。

世間知らずなサキちゃんがカワイイ

引用元:ぷらんつ・がーる、あづま笙子、ぶんか社、第1刷、p25

ラベンダーの花が変身した少女・サキちゃんがすっごいカワイイんですよ。顔がカワイイっていうのはもちろんなんですが、性格が良いので余計に可愛さが際立って見えます。優しくて癒し系というか…まさに「ラベンダー」のイメージをそのまま人間の性格に置き換えたような秀逸なキャラデザです。

個人的には、サキちゃんの「世間知らずっぷり」が可愛くて仕方なかったです。いくら姿形が人間になったとはいえ、サキちゃんはつい最近までラベンダーの鉢植えだったのですから人間社会のことをほとんど知りません。街中で人に抱き着いたり、家の中で水着を着てみたり、雪を見て大はしゃぎしたり…世間知らずだからこそ、何の変哲もない日常を全力で楽しんでいる感じが伝わってきます。

また、サキちゃんが常識を身につけて、徐々に人間らしくなっていく様子も見ていて楽しかったです。人間になったばかりの頃は「子供」みたいだったサキちゃんが、いつの間にか「奥さん」を感じさせる立ち位置に変化していくのにもホッコリしました。

最後までリラックスして読めるイイ作品

引用元:ぷらんつ・がーる、あづま笙子、ぶんか社、第1刷、p127

ぷらんつ・がーるのスゴイところは、最初から最後まで一切のストレスを感じずに読めるということですね。この作品の登場人物には悪人が一人も居ないんですよ。良い人と良い植物だけが存在する優しい世界…それがぷらんつ・がーるの世界観なのです。

佑とサキちゃんの善人ぶりは言うまでもなく、2人を取り巻くサブキャラクターの皆さんも魅力的な方々ばかり。2人の同居人…もとい同居サボテンの「トゲゾウさん」、会社の先輩の「晴丘さん」や、事務員の「松雪さん」など…全キャラクターが好感度メーターMAXです。自分もこんなイイ人たちに囲まれて暮らしたい…とマジで思いました。

あまりにも優しい世界すぎて「もしかすると悲しい結末が待っているかも…!?」なんて邪推しながら読んでしまいましたが、全くそんなことはありませんでした。ネタバレ防止のため詳しい結末をお話することはできませんが、とりあえずハッピーエンド確定ということだけはお伝えしておきます。悲しい話が嫌いで「とにかく癒されるマンガが読みたい!」という方にオススメしたい作品です。

 

まとめ

ラベンダー少女・サキちゃんには、「体から出るラベンダーの香りで相手を眠らせる」という特技があります。どんなに疲れている人でも一発でリラックス状態にしてしまうという技なのですが…この特技を毎日喰らうことができる佑が本当に羨ましかったです。私もサキちゃんの体臭を嗅ぎながら眠りにつきたいです。いや、別に下心があるわけじゃないんだけど。

ともかく、「人をリラックスさせる」ことを得意とする少女の物語は、読んでいるこちらまでリラックスさせられる良作でした。あとがきによると、作者のあづま笙子さんは「あーなんか癒されたいなーー」と思ったことがきっかけで、ぷらんつ・がーるという作品を描き始めたのだとか…ってことはこの作品、読んだ人がリラックスするよう狙って描いたってことでしょうか。なにそれ、天才かよ。

そんなわけで私は作者様の術中にまんまとハマり、すっかりと癒されてしまったのでした。ぷらんつ・がーるは1巻完結で気軽に読める作品なので、日々の生活でちょっとだけ疲れてしまった方はぜひ読んでみてください。読み終える頃にはきっと、読む前よりも少しだけ心が軽くなっているはずですよ。

※尚、単行本未収録のお話は以下から読めるとのことです!

二次元の世界が好きすぎて脱サラし、マンガ・アニメ専門のライターになってしまったヤバい人です。
朝から晩までマンガを読んではレビュー、アニメを見てはレビューという二次元漬けの日々を送っています。

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