イノセントデビルは、生まれつきある種の感情が欠落し、人を殺すことをためらわない殺人鬼を扱ったサイコホラー系アクション漫画です。必要とあれば無邪気に人を殺せることから、イノセントデビルというタイトルが誕生しているのです。

主人公はイノセントデビルに生まれてしまった赤音と、それを研究対象兼相棒と見る搭子です。原作者つきの漫画だけあり殺人に関する考察は本格的なもので、人の心理分析には舌を巻くほど力が入っています。そして、それ故に赤音の異質さが際立ってしまうのです。

見所は殺人鬼が殺人気を駆ると言う構図であり、イノセントデビル同士が出会ってしまったらどうなるかと言う部分です。1巻でもイノセントデビル同士が出会い、対峙する場面があります。究極的には人の命はなんなのか、感情はなんなのかを問いかけるような作品になっています。

あらすじ

深海赤音は幼い頃に両親を殺してしまいイノセントデビルとして研究者上条搭子に監視される対象となり、同時に異常な殺人事件を解決するための戦力としての役割を与えられます。搭子自身は赤音を人間として扱おうと努力していて、奇妙な協力関係が生まれています。

赤音と搭子はイノセントデビルが絡んでいると思われる殺人事件を調査し、場合によっては実力行使で解決していきます。搭子はイノセントデビル研究の権威であり、超一流の頭脳の持ち主だからです。しかし、物理的な戦闘能力は皆無のため、赤音がボディーガードとして身を守っています。

次々と事件を解決していくふたりですが、赤音は異常な人間と接するたびに自分の異常性に悩むようになっており、精神的に不安定になっていきます。人間としての社会性を失うリスクを犯しながらも、赤音は本来両親を殺した際に何を感じるべきだったのかを知るため、自分と似た存在であるイノセントでビルを探しつつけるのです。

感想

ミニスカ美少女が物理でサイコパスを制圧する

イノセントデビルの特徴がサイコホラー要素とアクションの要素の両方を兼ね備えていることです。赤音は天然の殺人鬼であり、人を殺すことにためらいを覚えない精神構造を持っています。搭子はイノセントデビルを探し、場合によっては保護することを目的にしているため、サイコパスを探し結果として物理で粉砕するシーンが多くなるのです。意匠デザインの可愛らしさも魅力ですが、その姿で格闘戦をこなすため、かなりギリギリのシーンが多いのです。

ポイントになるのが、赤音は相手の意表をつくアクションを多用することです。地に脚をつけた格闘線ではなく、距離をつめるためのジャンプや奇襲としての跳躍を組み合わせることがあります。結果として空中戦をこなすことが多くなるため、スカートの中が見えそうになるシーンが多くなっています。普段からミニスカートにガーターベルトとかなりセクシー系の服装になっているため、余計に目立つことになるのです。ただし、肝心な部分が見えないことが多いのも漫画ならではです。

サービスシーンで言えば、他のキャラクターの登場でバリエーションがアップする部分があります。搭子は完全ロリ体型のため別の方面での需要がありますが、途中参加するキャラクターは露出ではなく衣装フェチが好む格好で登場します。その姿でアクションをする事もあるため、中身が見えてしまうこともあります。メインヒロインは見せない方向で、他のキャラが見せる方向に偏るなどきりわけがされているのです。体のラインが出る服装が多めなのもポイントと言えます。

グロテスクさを受け入れられるのかがポイントに

殺人鬼を扱った作品と言うことで、精神的に壊れた人間がかなりの数出てきます。ほとんどが敵役ではありますが、主人公の赤音自体もかなり壊れているため、感情移入がし辛い部分があります。全体を通してまともな人間はほぼ出てこないため、共感をするポイントを見つけるのが難しいのです。壊れている、ずれている自分たちを客観視する際の欠落の描写など、感情移入のポイントはありますが、全体的に異質な人間たちが描かれていることには注意が必要です。

戦闘シーンのグロテスクさもあります。イノセントデビルはその場その場で最適解を自動的に選択し、その中には倫理などが含まれていないと言う特徴があります。攻撃方法がえげつないものが含まれることが多く、痛みに敏感な人はとても読めないような内容になっています。特にイノセントデビル同士の戦闘シーンは命の優先順位がおかしいことになっているため、生き残るために傷を受けることすらたためらわないと言う状況になります。

また、若干不自然な描写があるのがマイナスポイントです。戦闘シーンでありとあらゆるものを利用し概念にもとらわれないと言う説明があるものの、物理的にありえない挙動が含まれる場合があるからです。超能力バトル物などであれば素直に受け入れられても、物理的に説明出来ないシーンが入ると若干冷める部分があります。今後説明があるかも含めて注目される部分ではありますが、物理現象として説明出来ないシーンがあることに若干注意が必要です。

心理描写は秀逸で、異常者の悲哀も書かれている

イノセントデビルの特徴の一つが心理描写の秀逸さです。しっかりとした分析を元にかかれていることがわかる用になっていて、説得力があるのです。殺人鬼であってもそこに至るまでの過程や悩みは異なります。歪であっても悩みを抱えているケースが多く、人間性がテーマになっている部分があるのです。ただし、そこに共感できるかは人それぞれです。異質さと弱さの両方を描写することでキャラクター性を強調することには成功しているため、後は見方次第の部分があるからです。

赤音は自分が両親を殺した際に何を感じるべきだったのかを悩んでいる部分があります。それを探すために同類を探し、狩っている状態ですが、そのたびに精神の異常性が強くなっているのもポイントです。異常者と渡り合うために人間性が更に犠牲になっている部分があり、いつ壊れるかと言うスリルも含めて『イノセントデビル』の魅力になっているのです。また、仮に壊れてしまってどうなるかは誰にも予測がつかないのもポイントになっています。

望んで殺人気になったわけではなく、結果として殺人気になってしまった人間など、バリエーションも多彩です。イノセントデビルもそうではない人間も含まれているため、展開が読めない部分がサイコホラー感を高めてくれます。実際に会わなければイノセントデビルとわからないケースがあるからこそ、赤音と搭子は一緒に行動し、身の危険に巻き込まれている部分もあるのです。人間と、人間でありながら人間的ではない人間、その人間の心情など、様々な角度から人の心が読み取れるのが魅力になっています。

まとめ

イノセントデビルの主要人物は超人的な能力を持つ美少女殺人鬼と探偵役のロリ美少女のコンビと言うテンプレート的な配置になっています。ただし、中身は骨太で、心理学の公証などもしっかりしています。歴史に名を残す殺人鬼と、イノセントデビルとの違いもうまく出せていて、内容的にも良く練られているのがわかります。美少女の表紙に惹かれて買うと、中身に驚かされる事は十分あるのです。表紙に血がついたナイフが書かれているように、かなり尖った作品になっています。

グロテスクな描写もあるため、受け付けるかどうかはかなり人を選ぶ分もあります。ただし、そういったマンガが好きな層を確実に捉える用にシナリオが練られているのもポイントです。ターゲット層が明確な分破壊力は高いのです。アクションシーンは激しく、1巻後半の戦闘は目を見張るものがあります。身を削りながら戦う美少女が好きな人は間違いなくドストライクです。人間でありながら非人間的な戦いをする様は異常でありながら人をひきつける部分があるのです。

本編がシリアス一直線な部分があり、ギャグシーンの比率は少なめになっています。巻末おまけマンガなどは貴重なギャグシーンになっているため、本編とのギャップが楽しめます。発売が2017年5月で、1ヵ月たたないうちに増版がが決まった事もあり、これからの伸びも楽しめるマンガとなっています。新キャラ追加や搭子の研究を支える裏の存在などがにおわされる状態で次の巻に続いているため、物語の謎がどのように解けていくかも注目したい作品です。

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9

月10冊程度、年間100冊超の漫画を読むフリーライター。非定期で友人と百合漫画を語る会を開きますが、ジャンルは不問で何でも読みます。