「まじかるストロベリィ」は、まつもと剛志先生によって白泉社の「ヤングアニマル」で連載されていた4コマ漫画です。連載時期は2003年から2009年で、全10巻で完結しています。主人公が大学生という珍しい作品でもありますね。

植物が好きな主人公と、花の妖精「いちこ」との出会いを中心に第1巻では描かれています。ご主人様と主人公を慕う「いちこ」と、突然あらわれた妖精に戸惑いながらも一緒に生活するようになった日常が映し出されます。

子供のような容姿をしている妖精「いちこ」は実を食べた者の願いを叶えるという「魔法苺」を所持しています。魔法苺の実を食べてしまうといちこは消えてしまうので、食べずに大切に扱っている状況です。そのような設定がありますが、この作品は主人公といちこの日常生活がほのぼのとした絵柄で描かれた名作4コマ漫画となります。

あらすじ

ある夜、日下部光太は大学の帰り道に公園で「ひろってください」と書いてある紙と一緒に置かれた植木鉢に出会います。植物が好きな光太は咲いていた花の珍しさもあって家に持ち帰りました。そして「いちこ」と名乗る小さな女の子が突然姿を現すのでした。

「いちこ」は光太が持ち帰った「魔法苺」の妖精だと言います。魔法苺は持ち主の愛情を糧に育つ植物らしく、妖精の役割は持ち主の愛情を獲得するために精一杯の奉仕をするとのこと。光太は困惑するも、いちこの話を信じて一緒に生活するようになります。

元気で明るくご主人である光太に様々な方法で好きであると伝える「いちこ」と、植物を愛する大学生の共同生活が始まりました。そこに大学の後輩である「冬月日夏」も加わって、楽しい日常生活が過ぎていくのでした。

感想

植物の妖精「いちこ」とほんわかとした日常

「まじかるストロベリィ1」では、植物を愛する大学生の光太と不思議な植物の妖精であるいちことの出会いが描かれ、2人は何となくではありますが一緒に生活するようになります。ご主人のためにご飯を作ったり、プレゼントにマフラー編みに挑戦するいちこですが不器用でなかなか上手くいかないことが多いです。そのような行為を寛大に許したり、いちこの失敗を快くカバーする主人公が素晴らしい。そのような優しさや思いやりで「まじかるストロベリィ」は出来ていると言っても過言ではないでしょう。

この作品は何と言っても雰囲気が良いですね。可愛らしい絵柄のせいもありますが、登場キャラクターたちにも毒がありませんし、落ち着いています。萌え系漫画におけるご主人様とのムフフな関係性やアダルト要素も描かれていないので、幅広い世代で読むことができる貴重な萌え系作品ではないでしょうか。どちらかと言うと絵本や少女マンガのような雰囲気に近い気がしますね。そういった特徴がまじかるストロベリィの良さだと思います。

大学生の主人公という設定も珍しいですが、いちこと親子のように暮らしている様はもっと珍しいです。普通にスーパーへ買い物に行ったり、クリスマスプレゼントを貰って驚くいちこの姿は本当に子ども(見た目は幼女ですが)のようですね。光太と後輩である日夏、そしていちこの3人は子供を連れている幸せな家族のように見えてくるから不思議です。疑似家族のような関係性ながらも、作品が持つ独特の雰囲気によっておかしくならない様子も優れていますね。

作品の特徴から読み手を選ぶかもしれません

「まじかるストロベリィ1」では、主人公である「日下部光太」と同じ大学に通う後輩の「冬月日夏」、そして作品で重要なキャラクターである「いちこ」が登場しますが、第1巻ではこの3人しか主要人物が登場しません。基本的には光太といちこの日常生活と日夏が加わって何処かに出かけるといった展開が多いですし、私は少ない登場キャラクターによる物語は長所であると思っています。しかし読者によってはキャラクターが少ないと感じるでしょう。

柔らかいタッチで描かれた可愛らしい絵柄にも好き嫌いが分かれると思います。また第1巻が発売されたのが2005年なので、日常漫画の特徴である連載時期に流行った時事ネタが分かる方には面白く、分からない方にはツマラナイと感じる恐れがあるでしょう。物語の展開においては、まじかるストロベリィの特徴であるほんわかした優しい気持ちになれる話が多い一方で、たまにシリアスな雰囲気が漂う話もあり、そこも好みが分かれると思います。

魔法苺の妖精である「いちこ」は時折女性としてドキッとさせられる行動をすることがありますが、ほとんどが小さな子供のように無邪気です。その無邪気さから光太を困らせることが多いので、読者がストレスを感じることがあるかもしれませんね。ただ、読み進めていくと一途な思いや一生懸命に光太を喜ばせようと奮闘する姿が次第に愛らしく思えてきます。いちこのドタバタした様子を見ることも、この作品の楽しみ方の一つではないでしょうか。

母性や父性を思わず感じてしまうかも?

登場キャラクターについてですが、主人公の「日下部光太」は植物を愛する大学生で理学部の2回生。植物学科で勉強し、園芸サークルに所属しています。魔法苺を拾ったことがキッカケで、いちこと生活をすることになります。性格は優しくて面倒見が良く、いちこの保護者のような立場です。光太の後輩で同じ園芸部に所属する「冬月日夏」は一見地味な印象を受けますが天然な性格で光太へ密かに好意を抱いています。親しみやすさから警戒していたいちこにもすぐに打ち解けることが出来ました。

そして「まじかるストロベリィ」を象徴するキャラクターである「いちこ」です。最初は名前を間違えやすいですが、「いちご」ではなく「いちこ」と呼びます。魔法苺の妖精で小さな幼女の姿をしています。ご主人である光太に対して一方的に好意を抱いており、ドタバタ劇のほとんどが彼女のせいで起きています。母性や父性を感じてしまうほど非常に可愛らしいキャラクターで、光太や日夏と遊んでいる姿は癒されますし、何だか元気がでます。

植物を可愛がれば可愛がるほど枯らしてしまう日夏に対して植物を愛する光太は「植物を育てるのは恋愛に近い」と言います。一方的に植物を愛するのではなく、「植物の気持ちを汲みとって育てることが大切」という考えは、「まじかるストロベリィ」の大きなテーマになっているような気がしますね。光太も一緒に生活するいちこに対して愛情を持ちながら接しており、そのような「愛情」もこの作品が持つ魅力で素敵な要素だとも思えるのです。

まとめ

まじかるストロベリィの1巻について述べてきましたが作品のことを少しでもイメージして頂けたら幸いです。この作品は表紙の可愛らしい絵柄からも分かるように、ほんわかとした日常4コマ漫画です。妖精であるいちこが登場するなど少しだけファンタジー要素も入りながも、描かれているのは普通の生活が中心となります。驚愕するような事件は起きませんし、登場キャラクターも少ない…。どれもマイナスイメージとなってしまう要素ですが、この作品にはそういった要素を必要としない「癒し」も存在するのです。

雨が降った日にレインコートを着て買い物に出かる話は可愛らしかったし、いちこが大好きなキャラクターである「パンダ子」の着ぐるみショーの話では、いちこの純粋さが垣間見ることができます。お花見をしたり大学の夏休みを利用して日夏を入れた3人でピクニックを楽しんだりと、日常系漫画の醍醐味である各イベント事も多く掲載されています。生活の中でキャラクターたちの喜ぶ姿を見ているだけで幸せな気持ちになれるでしょう。

1巻では主要キャラクターが3人ほどですが、巻数を重ねるごとにキャラクターも増えていきます。個性的な新キャラクターが多いですし、まじかるストロベリィは全10巻ですから読みやすいと思うので1巻を気に入った方は是非続きを読んでみてくださいね。日常系の萌え漫画では雰囲気を含めて少し異質な作品かもしれませんが、しっかりと楽しい日常生活が描かれていますから、いちこを含めたキャラクターたちの優しさに癒されてみては如何でしょうか。

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9

記事担当:キリンリキのしっぽ