「わくわくろっこモーション1」は、「はるみねーしょん」や「ひらめきはつめちゃん」など独特の漫画を世に送り出している大沖先生の作品です。女子高生が寂れた商店街を活性化させるために奮闘?するシュールな物語となります。

おじさん成分が高めの地域活性コメディという他作品では見られない肩書きがある漫画です。無能の父親に押し付けられた形で商店街の会長となった女子高生の「東灘ろっこ」が、寂れ始めている「ひしゃく商店街」の活性化を目指します。

一筋縄では行かないキャラクターたちに四苦八苦しながら商店街の再生を考えていきます。本気なのか適当なのか滅茶苦茶感のある作品でもあり、そのシュールでクスッと笑える世界観に酔いしれるかドン引きするかは、あたな次第!

あらすじ

ある日、東灘ろっこは「ひしゃく商店街」の元会長である父親から誕生日プレゼントであるひしゃくの形をしたヘアピンを貰います。そして「今日からお前がこの商店街の会長だ!」と強引に会長を引き受けることになります。

個性が強烈すぎる商店街の人々との交流を通じて、どうすればお客が来てくれるかを考えていきます。ライバルである大型スーパー「亀山ストア」に偵察と評して遊びに行くなど、「本当にそんなことでいいのか…」と思ってしまうほど商店街のおっさんたちは自由です。

おっさんたちの自由奔放な行動や独自の哲学に翻弄されながらも、高校生と会長業を両立するろっこ。何とかひしゃく商店街を良くしようとしていきますが…。はたしてろっこが率いるひしゃく商店街に活気が訪れる日は来るのでしょうか。

感想

女子高生が寂れた商店街を救う!?

女子高生が商店街の会長という珍しい設定の作品で、主人公はひしゃくのヘアピンがトレードマークである「東灘ろっこ」です。前会長であり、ただダラダラして過ごしていた父親の役職を譲り受けた形になります。ろっこは淡々とした性格をしていますが、個性的な商店街のおっさんたちに心の中でツッコミをいれるので、この作品のツッコミキャラですね。最初は会長をやるのは無理と言っていましたが、おっさんたちの破天荒なやり方に戸惑いながらも商店街を良くしようと行動していきます。

とにかく商店街のおっさんたちが呑気で面白いです。自分のやり方を貫く姿勢や適当か本気なのか分からない行動の数々は、無茶苦茶ですが見ていると何だか元気が出てきます。魚屋にクラゲの変な生物が高値で売られていたり、「らっしゃい」に命を懸けている八百屋など、そのような意味不明さから来る笑いが連鎖していきます。ろっこは戸惑いながらもちゃんとおっさんたちの話を聞いてあげるので、「もしかしておっさんたちよりも、ろっこのほうが優秀なのでは…」と思ってしまいます。

しっかりしている主人公ですが、おっさんたちに感化され一緒に破天荒な行動をしたりと以外とお茶目な所があって良いです。またこの作品では「間」が笑いを誘いますね。セリフを発言するタイミングにも独特の間があるのです。それによって大沖先生による大沖ワールドが完成されていますし、「わくわくろっこモーション」の類似作品も少ないので独創的な物語を生み出しています。ただ、タブンイレブンという某有名コンビニをパクったコンビニが登場したときは、他から怒られないか読者である私が心配してしまいました(笑)

個性的過ぎる商店街のおっさんたち

独特の世界観がある作品ですから、合う・合わないの差が激しいと思います。素朴な可愛いキャラクターたちと一部のおっさん作画も合わさるのでなおさらです。世界観にどっぷりハマれる方もいれば、独特のギャグシーンが受け付けない方も多いでしょう。突拍子もないキャラクターたちのセリフや、関連性のないことを言われれば誰だって混乱してしまいますよね。しかし大沖先生は、その混乱さえシュールなギャグに変えてしまう技術を持っています。

「わくわくろっこモーション」の1巻でも大沖ワールドが炸裂していますが、やはりどれだけ読者が独特の世界観に対応できるかで名作か、それとも迷作と評価が分かれると思います。先が読めない物語で読者を飽きさせない一方で、個性的なキャラクターばかりですし、見方によっては常識人が一人も存在しないのかもしれません。そのような世界では、読者が期待する面白い要素を良い意味でも悪い意味でも無視している作品だとも思えます。

絵についても可愛らしいキャラクターは可愛いらしいのですが、おっさんなどの絵柄はこれまた一癖が加わって描かれています。その差も笑える要素として捉えるのか、気持ち悪いと捉えるかで好みが分かれるでしょう。私はその要素も含めて好きな作品で、読み進めると世界観に徐々に慣れていくことや、他の作品では味わえない面白さに気付くことができると思います。それだけ初見ではこの作品が持つ独自の面白さが分かりづらいとも言えますね。

中毒性のある不思議な魅力が存在する

主人公である女子高生会長ろっこの他に、上で記載したように個性的過ぎるキャラクターたちが物語を盛り上げます。「東灘ななこ」は、ろっこの可愛い大切な妹ですが、いつも表情が反笑いで姉よりも鋭い指摘をする将来が楽しみな〝すげぇ〟キャラです。ろっこの友達の「千曲しなの」は、一見普通の友達のように見えてこの作品が持つ独特の世界観に通用する感性を持ちます…。正直に言いますと、少しばかりズレています。そこが魅力的なキャラですね。

亀山すずかは主人公の学校にやってきた転校生で、ひしゃく商店街が寂れる原因である大型スーパー「亀山ストア」の社長の娘です。またひしゃく商店街付近の支店の経営を任されています。ライバルであるひしゃく商店街を徹底的に潰すために商店街のことを知ろうとしますが…。いまいち緊張感のない商店街の住人たちに困惑してしまいます。何とか有益な情報を探ろうとしますが、深読みのしすぎで商店街の住民たちが知らない内に自滅していく様子が可笑しいです。

そして「わくわくろっこモーション」で欠かすことができない商店街のおっさんたち。おっさんたちは見た目は同じような姿ですが、癖がありすぎて上級者向けですね。ろっこの父親はハッキリ言って笑える無能ですし、「亀山ストアのせいで商店街が寂れた…どうしよ!」と言う割には全く危機感がない…。残念なおっさんたちですが、日本で唯一謎のクラゲを釣ることができる名人や、山に住む仙人と友達だったり以外と人脈がある所も憎めません。

まとめ

人によって好みが分かれる作品が世の中で多く存在するように、この「わくわくろっこモーション1」もその類の作品だと思います。私は表紙のろっこちゃんと反笑いのおっさんたちにときめいたので読み始めましたが、波長が合ったのかすっかりこの世界観にハマりました。作品が持つ世界観をシュールというシンプルな言葉だけで表現するには何かが足りませんし、言葉ではなかなか表現することが難しい不思議な魅力を持つ作品ではないでしょうか。

正直な話、胸を張って他者にオススメできるような漫画ではありません。偶然この作品を手に取ったり、何か特別なものを感じて「読んでみたい!」と思った方がハマる作品なのかなと考えています。寂れかけた商店街を女子高生が活性化させるというテーマ性は面白いですし、個性的なキャラクターたちは非常に魅力があって素晴らしい作品だと思うのですが、萌え系の漫画ジャンルとしても異彩を放っています。そこが大きな特徴であり長所だとも言えるでしょう。

感想を述べてきましたが、多くの方が「わくわくろっこモーション」に興味を持って頂けたら幸いです。大沖先生による思わずクスッと笑えるくだらなさ、ツッコミが追い付かないほどのおっさんたちの行動、どれをとっても読み手を選びますがツボに入れば唯一無二のギャグ漫画や癒し系漫画となります。最初はピンと来なくても中毒性のある作品ですから、「ちょっと読み返してみるか…」と読めば読むほど味がでるスルメ漫画だとも思えます。

オススメ度
★★★★★★★☆☆☆ ★7

記事担当:キリンリキのしっぽ