樋川穂澄との出会い、彩葉の逆襲という伏線を仕込んでいた「おちんこ」は、この第10巻で連鎖爆発をはじめていきます。10巻ではしょっぱなから彩葉が修輔に対して攻勢を仕掛けていきます。今までのような無理矢理な感じではなく、切実に誠実に迫っているので修輔も対応していかざるを得なくなっていきます。

一方、穂澄からはSOSのメールが入ってきます。前巻で懸念していた穂澄の兄の問題が深刻なものになってきたからでした。穂澄の兄は妹の穂澄に性的関心を抱くド変態で、その行動がどんどんエスカレートしてきているというのですね。相談を受けていて、修輔はその状況を自分達に重ね合わせて大きなダメージを負ってしまいます。

彩葉からのアプローチと、穂澄からの相談を受け、修輔のキャパシティも限界に達していきます。女子達は修輔に色々な負荷をかけ過ぎですね。そして、修輔は夜の大人のビデオコーナーである人物と出会い、親友になるのでした。そのある人物の正体とは一体誰だったのでしょうか――。

あらすじ

修輔を屋上に呼び出した彩葉は、思いの丈を修輔にぶつける。「もう奈緒ちゃんが本当のことを知ってる可能性も――」(第65話)奈緒が本当のことを知っているかどうかで修輔は思い悩むが、学校では彩葉といちゃつく生活を送り始めていた。(第66話)

穂澄に呼び出された修輔は兄のことで相談を受ける。修輔は自分と奈緒との関係に重ね合わせて、心にダメージを受けてしまう。(第67話)二人の話に彩葉が割り込んできて、穂澄の悩み解決に協力すると申し出る。(第68話)

自分の異常性に気付いた修輔は、どうしようもなくなって深夜のエロビデオ屋さんに駆け込んでしまう。(第69話)エロビデオ屋で修輔は超紳士で超格好いい男と出会う。彼のは「樋川」剣吾と名乗った。(第70話)穂澄の兄の問題を解決しなければならない修輔だったが、夜に会う剣吾がそうだとは全く気付かない。(第71話)

感想

幼馴染の逆襲!もう彩葉を選んじゃえよ修輔

修輔を屋上に呼び出した彩葉は、今まで修輔が避け続けてきた「おちんこ」におけるメインテーマをぶち込んできます。修輔が義妹の奈緒のことをどう思っているかということについてです。奈緒は既に自分が血の繋がらない義妹だということを知っていますが、修輔は奈緒がそのことに気付いていることを知らないという状況です。お互いが本当の関係に気付いた時、修輔と奈緒はどうなってしまうのでしょうか?修輔が他の女の子達に鼻の下を伸ばしながらも、恋人関係にならないのは奈緒という存在があるからなんじゃいか――。

彩葉の問いは切実です。そして、今の宙ぶらりんの関係がずっと続けば、修輔は30歳になっても童貞を捨てることができなくなるのではないかと問い詰めます。そして彩葉は言うのです。「私ならっ…私だったら先輩がしたい事…何でも受け入れられますっ…」「何だったら…今すぐここで――あんな事や…こんな事だってっ…………」悪魔的な誘惑を行う彩葉ですが、恋のルールを破ることはありません。正々堂々しているのですね。常識外れのヒロインだらけの中で彩葉が天使にみえてきましたよ。

修輔はカップルだらけの中庭のベンチで、彩葉が作ってきたお弁当を食べます。それでもどこかぎこちないのは、彩葉に対する過去のトラウマがあるからなのでしょうか。彩葉も随分と修輔に迫っているのですが、やはり奈緒という根本的な問題をどうにかしない限りは修輔と恋人にはなれなさそうです。私的には「もう彩葉を選んじゃえよ。修輔」と思うのですが、修輔はなかなか思い通りに動いてはくれませんね。もはやこれは、草野先生が構想したプロットとの対決ということになってしまいます。本当に彩葉には頑張って貰いたいです。

穂澄の兄問題という爆弾を修輔は処理できるのか

彩葉とのいちゃいちゃを邪魔するかのように、樋川穂澄からSOSのメールが届きます。修輔を呼び出した穂澄は語り始めます。それは穂澄のお兄さんに関する悩みなのでした。「ある時期から兄は――少しずつ変わっていってしまったんですっ…」「一言で言うと私に対して」「邪…な感じになってきたんですっ…」穂澄は具体例を語っていきますが、要約すると「兄が最近自分を性的な目でみるようになってきた」ということですね。いやはやけしからんです。

穂澄の相談を受けているだけだったのに、何故か修輔は心にダメージを食らってしまいます。というのは、穂澄の兄がしていることは、全て修輔もしていたからなのですね。そこに彩葉も現れて、妹を性的な視線でみることの異常性を説きます。ただ、樋川家は実の兄妹の話であるのに対して、修輔と奈緒は義理の関係なので、このあたりで修輔がダメージを受けるロジックには薄いものがあるかもしれません。莉智香の時も血の繋がった姉と弟の関係で、修輔達と比べるとガチでした。

こうした偽りの対立軸で修輔を悩ませ続けるのが、おちんこの悪いところと言えるのかもしれません。奈緒の動き次第で、いつでも好きなように物語を結末に導けてしまえるということで、奈緒があまりにも特権的な立場に居すぎるのですね。奈緒が実は自分が義理の妹だと気付いていることを打ち明け、なおかつ告白までした時に、修輔が戸惑い迷うぐらいでないといけないのです。本気で、穂澄と付き合うとか、彩葉と付き合う可能性を考えて葛藤するところまでいく必要があるのです。

深夜のボーイ・ミーツ・ボーイ?青年の名は「樋川」剣吾

穂澄の兄問題の解決を依頼された修輔でしたが、奈緒のことを考えるとそれどころではなく、うっぷんを晴らすために深夜にエロDVDを借りるためにビデオ屋さんへと走ります。10巻まで積み重なっているのに、修輔の行動は最初の頃と全く変わりませんね。よく考えてみると、この物語を通じて修輔は全く成長していません。変わったことはと言えば、多少性的嗜好がSM方面へと歪んだことぐらいですよね。ゼロ年代以降の登場人物が何一つ成長しない物語の系譜の一つと言えるかもしれません。

レンタルビデオ店で「微・妹Sister」というタイトルのエロアニメを借りようとすると、一人の青年とバッティングしてしまいます。そのエロアニメを巡って譲り合いになるのですが、青年がとった行動は紳士で男前なものなのでした。修輔はその青年と友達になってしまいます。青年は名前を「樋川」剣吾と名乗りました。ん?樋川……どこかで聞いたことのある苗字ですね。次の日に学校に行くと、樋川穂澄は兄が妹もののエロアニメを見ていたと報告してきます。

奈緒も彩葉も既に気付いてしまっているのですが、修輔は全く気付く気配がありません。それにしてもこんなに爽やかでイケメンに描かれた青年が、妹にセクハラを続けなおかつ嫌がられているのですね。他の漫画だったらもうちょっと兄妹の仲が良くてもおかしくないでしょう。とはいえ、いたいけな妹の穂澄ちゃんに近親相姦の魔手を伸ばそうとしている剣吾はけしからんです。こういうのはもっと本人に気付かれないようにだな……けふん、けふん。

まとめ

いに穂澄が抱えている悩みというのが明らかになりましたね。まぁ、穂澄ちゃんぐらい可愛い妹だったら、兄から性的な視線で見られてしまうのも仕方のないことなのかもしれません。この他人の家の兄妹関係を描くことで、修輔や奈緒に自分達の関係を見直させるという手法は、莉智香編の時にとられたものと同じですね。あの時は、奈緒が考えることになったのですが、今回は修輔が悩まさせることになっています。奈緒は既に覚悟ができた女の子でしたからびくともしませんでしたが、修輔は心にダメージを負いまくりです。

既に読者は深夜のレンタルビデオ店で出会った紳士な青年・樋川剣吾が穂澄の兄であることがわかるようになっています。修輔だけがまだ気付いていないのですが、このまま親交を深めた後でわかってしまったらどうなってしまうのでしょうか?まさにジレンマですよね。剣吾は修輔の写し鏡のような存在で、その剣吾に妹を性的な目で見ることをやめさせなければならないのですから。真実を知った時に一体修輔がどんな行動をとるのか、私には想像することができません。

そして、本巻は幼馴染の彩葉が本格行動を起こし、実行に移し始めた巻でもありました。奈緒はまだまだ余裕をぶっこいていますが、穂澄の兄の話を利用して修輔の心を揺さぶっています。でも、こういう間接的な揺さぶりではなく、修輔の性的なものに対するあまりにもの弱さを利用して、先にファ○クしてしまったほうがよいと思います。それが唯一、奈緒の心を揺さぶる方法だと思うのですがいかがでしょうか?おちんこもついに残すところ後2巻となってしまいました。長く続いた恋愛戦争の勝者は誰になるのでしょうか?乞うご期待です。

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9

記事担当:カオス