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SM、美少女、青春劇――と聞いてピンときたら「ナナとカオル」の第1巻です。作者の甘詰留太先生は少しえっちぃラブコメを中心にたくさんの作品を世に送り出していますが、私的にはナナカオこと「ナナとカオル」が一番です。

他の漫画では「エロいけど、そこまで面白くない」というのもあるのですが、ナナカオはストーリーも含めて面白い作品です。何と言ってもSMを題材にしたところが素晴らしいですよね。主人公がチビで太めというのも他の甘詰作品とは一線を画しています。

「エロいよ」が代名詞な作品なのですが、第1巻においてSM描写として過激過ぎるところまでには行っていないですし、セックス描写があるわけでもないのですがそのことでかえってエロくなっている作品です。ナナの恥じらいの表情に期待しながら第1巻のスタートです。

あらすじ

17歳の男子高校生杉村薫は、グツグツの童貞で日々SMの妄想をする冴えない生活を送っていたが、幼馴染には小学生の時からのくされ縁がある千草奈々がいた。奈々は頭がよくみんなに慕われ、胸も大きく美人なためカオルは引け目を感じていた。

一方、ナナは真面目で頑張り過ぎるため、学校の先生から「息抜き」も必要だと忠告される。そんなある日、ナナはカオルの母親から荷物を預かることになる。そこに入っていたのはカオルが買い集めたSMグッズだった。

ナナは好奇心からエナメル製のボンテージ服を試着してしまう。誤って鍵をかけてしまい、脱げなくなってしまったナナはカオルの元にやってきて鍵を開けるよう頼んでくる。カオルは千載一遇のチャンスを逃さず、ナナとのSMプレイに持ち込もうと頑張るのだが……。

感想

SM青春ラブコメの金字塔ここに降臨!エロいよ……

世の中にSF青春ラブコメは数あれど、SM青春ラブコメ作品は数えるほどしかありません。その中でも突出して完成度が高くエロいのがこの「ナナとカオル」なのですよね。主人公のカオルは冴えない男子高校生で、幼馴染で同級生のナナは東大を目指すほど頭がよく、人望もあって、美人という対照的な設定になっています。ナナは他の同級生達とは違って、カオルのことを高く買っており、好感まで抱いているというのは少々漫画的かもしれませんね。

学校では超絶優等生なナナが、学校生活や勉強の息抜きのために、ひょんなことからSMプレイを始めることでこの物語は転がっていきます。どんな「ひょんな」ことなんだ!というのは本編をご覧になってください。漫画的ですけれど、結構自然に面白く最初の状況を作っているように思います。ちなみに男のカオルが「S」で、ナナが「M」側ですね。ドエムな読者はもしかするとナナのほうに感情移入して読んだほうが色々と捗るかもしれません。

この漫画の素晴らしいところは、とにかくナナがエロいところです。いやいやSMプレイをやっているのかと思えば、好奇心旺盛でやる気満々ですやん……。やはり、美人で頭のよい女の子はこういうことにも真面目に取り組んでしまうのです。SMは単純に行為をすればいいというわけではなく、SとMの関係性が重要になってくるものです。ナナとカオルの関係性はSMにとって最高であり、青春ラブコメ漫画としても完成度の高いものになっているということにも注目です。

なぜカオルはチビで太めなのか?

甘詰先生のいつもの作品なら、主人公のキャラデザはカオルのようなチビデブではなく、生徒会長のような真面目系童貞なのが通例でした。ODA版の声を甘詰先生本人が演じていることからも、甘詰先生が自己投影しやすいキャラなのだと思います。でも、本作ではカオルというチビデブ根暗……という感じの残念なキャラを主人公に据えてきました。これは思い切った決断だったと思いますし、同時に素晴らしい選択であったと思います。主人公をカオルにしたからこそ、今までの作品とは一線を画すものができたのだと思います。

恋愛に関する物語というのは、互いの「違い」を埋めていったり、乗り越えたり、認め合うことによって進んでいくものです。違いが大きければ大きいほど、物語は面白いものになります。特に本作は「SM」をテーマにしているので、より「違い」というのが大事になってくるのですね。ナナは美人で明るくて人望があって賢い――というのであれば、カオルはその逆にする必要があります。こうしてできた大きな「違い」が、ナナカオの物語を動かす原動力になっていきます。

カオルが第1巻から持ち続けている葛藤というのは、ナナは美人で賢くて高校を卒業したら自分とは全く違う世界に行ってしまう――というものです。自分なんかがナナと一緒にいても、ナナは幸せになれないから、ナナは卒業後に待っている素晴らしい世界で幸せになるべきだと思っています。ちょっと漫画の主人公にしては自分を卑下し過ぎだとは思うのですが、カオルのそのような葛藤さえもSMプレイにとってはプラスになってしまうのですね。

それでは第1巻におけるプレイのおさらいです!

さて、感想や分析はさておき、第1巻では一体どんなSMプレイが行われたのでしょうか? 第1話第2話3話は、ひょんなことからナナとカオルが二人のSMの世界に入っていく導入のプレイですね。ナナはエナメルのボンテージを着てしまい脱げなくなって、鍵を持っているカオルの部屋へと飛び込んできます。ここではボンテージ姿のナナがエロいのはもちろんなのですが、SMプレイをやれるかやれないか――の駆け引きの部分がエッロいです。カオルがおそるおそる一歩ずつ踏み込んでいくところがいいですね。

第4話第5話第6話では、学校の帰り道をナナが首輪をつけて歩く――というプレイから始まっていきます。というかナナさん、興奮するとペロリと舌を出す癖がありますね。エロいよ。首輪プレイは男子トイレに入ってみるプレイに発展します。そして第6話では放尿プレイにまで発展してしまうのです。ノーマルリーチから始まって、発展を重ねてプレミアムリーチまで辿り着いてしまった感じです。SM、SMと言いますが、二人の会話を聞いているともうラブラブにしか思えません。

ラブラブなんだけれども、カオルの引け目が二人をくっつけないようにしているのですね。そして第7話ではついにSMではお馴染みのロープつまり縄が登場して、次巻への引きとなっています。麻縄はそのままでは肌を痛めてしまうので、煮沸したり陰干ししたりと様々な手入れをしなければいけないそうです。漫画を楽しみながら、SMの知識を得ることができるSM学習漫画でもあるのですよ。「ふたりえっち」でセッ○スを学び、「ナナとカオル」でSMを学ぶ……。白泉社での二大勉強法ですね(笑)

まとめ

甘詰先生の作品を全ての人にお奨めできるかと言えば、私的にはちょっと奨めにくいものもあるなぁと思ってしまうのですが、「ナナとカオル」だけは問答無用でお奨めすることができます。というのは全ての面で甘詰先生の他の作品よりも優れているからなんですね。女の子のかわいさに関しては好みもあって他のシリーズのほうがいいよと言う人もいるかもしれませんが、漫画を通して作られているストーリー・葛藤は他の甘詰作品では見られないレベルの完成度と魅力を持っていると思います。

なんでしょうね、青春物語としてカオルの葛藤がいいんですね。ナナとの落差、距離感がSMのとてもよいスパイスになっているのです。お互いに好きで、それをすぐに伝え合えてしまったらその時点で物語が終わってしまうのですが、この作品には二人を遠ざける壁というのがわかりやすく存在しているのです。SMというのはプレイが激しければ興奮するというものではなく、二人の関係性が一番ものをいう性的遊戯です。SMを通じて二人の関係が少しずつ変わっていきそうなところがよいのです。

絵の素晴らしさはお墨付きです。昔からずっと安定して美味くて綺麗でエロい絵を描かれる先生です。ふたりえっちより上手いと思いますし、今現在の最新のエロコメ漫画達と比べてもかなり上手い部類だと思います。第1巻では衝撃の放○プレイがありました。冷静に考えると「いきなりレベル高いっすね、ナナさん」なのですが、次巻ではどんなプレイを繰り広げてくれるのでしょうか?縄を使うらしいですけど、やっぱり縛るんですかね。どんな絵面が拝めるのか期待しながら第2巻に進みます。

オススメ度
★★★★★★★★★★ ★10

記事担当:カオス

主に青年誌のラブコメ・エロコメを好む30代男子。「変女」推し。

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