「死んでも描くよ、エロマンガを。」そんなキャッチコピーが踊るのが『ハームフル・ビューティフル』です。主人公の京太郎は高校生でありながらエロマンガ作家であり、理想のエロを描くためにエロマンガを描き続けています。

ところが、エロを売りにした漫画家が次々と殺される事件があり、エロマンガキラーという都市伝説的な生まれていきます。エロマンガキラーは本当に存在するのかと言う謎と共に、主人公は何度も身の危険を感じることになるのです。

エッチなコメディー色が強い中、エロ漫画家を殺す殺人鬼が現実性を増していくというギャグとミステリとサイコホラーがドッキングした盛りだくさん振りが特徴です。しかも京太郎がエロマンガを書く理由が非常に切実で、だらこそエロマンガをやめると言うこと自体ができなくなっているのです。構成の巧みさも注目のポイントです。

あらすじ

高校生の京太郎は身分を隠してエロマンガを描いています。高校の友人などをネタにしてマンガにしているのが特徴で、ごく一部の人にしか知られていない秘密になっています。ところが、ある日命の次に大事なネタ帳を落としてしてしまいます。そして、お前の秘密を知っていると言う謎のメッセージを発見し、京太郎は誰かに正体がばれたのではないかと不安を抱えることになります。

ネタ帳は見つかったものの、どういう経緯で紛失かは全くの不明のままです。不安を抱えながら京太郎が過ごす周囲では、エロマンガキラーと言われるエロマンガを殺す殺人鬼の話題が盛り上がっていて、同時に知り合いのエロマンガ家と連絡がつかなくなっていきます。

しかし、京太郎はエロマンガを描き続けます。これは京太郎が女性に性的な興奮を覚えられないからです。理想のエロを描くことで自分の性的な興奮を手に入れようとする京太郎は、自分自身のエロスを手に入れるために、命の危険を顧みずエロマンガを描き続けるのです。

感想

死んでもエロマンガを描く主人公。本当に死んでタイムリープ

キャッチコピーに「死んでも描くよ」とありますが、主人公の京太郎は本当に死んでしまいます。そして、死んだ日の前日の朝などに目が覚めます。いわゆるタイムリープもので、不完全ながらも記憶を受け継ぎながら、事件の解決を目指すストーリーになっているのです。死んでもエロマンガを描くことをやめられないからこそ何度も死ぬことになり、本当のエロとは何かを考え続けるという非常に哲学的なストーリーになっているのです。この構造は本当に天才的といえます。

主人公が女性に性的な興奮を覚えられないと言うのもポイントです。あくまで理想のエロを描くことで興奮を取り戻したいと言うモチベーションがあるからです。自分の異常でない証明のためにエロマンガを描いているため、エロマンガキラーと言う存在が身近になっても描くことをやめられないのです。主人公のモチベーションと殺人鬼が殺したい理由が見事に一致しているからこそ、ストーリーが発展し、とっぴな設定が絡み合うようになっています。

1巻の時点で京太郎は何度も死ぬことになりますが、この時点ではエロマンガキラーの正体がわからないのもポイントです。主人公の周囲のヒロインが全員怪しい状態であり、それぞれに異常性を抱えているからです。偶然の事故なのか、故意なのかわからない死亡内容も含まれているため、本当の意味での殺人鬼は2巻以降でなければ判らないようになっています。物語の盛り上がり的にも1巻では物足りないため、非常に続きが気になる作品になっています。

キャラクターはロリ美少女ばかりなのがポイント

まず、京太郎の周囲の人物はみなロリ系の美少女に偏っています。大人の色気を持った女性は登場しないようになっています。しかも日常的に京太郎の妄想に登場して色々させられているため、エロネタは尽きない形になっています。京太郎の妄想の中と現実のギャップなどもポイントで、不自然さを強調し、どのヒロインがエロマンガキラーでおかしくないと思わせるように誘導されるようになっています。そういった意味ではサイコホラー要素が全員にあるため、どのヒロインが無罪かわからない状況になってしまっています。

キャラタイプは違うもののロリばかりで、巨乳キャラなどが登場しないのが悪い点の一つです。これに関しては作者作風でもあるため割り切ることを推奨します。ロリ好きであれば逆に天国だからです。一方でサイコホラー要素のせいでヒロインの誰も信用出来ないのはネックです。似たようなテイストで先行している作品はあるものの、非常に好みが分かれる部分でもあるからです。スリル優先で安心できる部分が少なく、感情移入がしにくい部分があるのです。

ヒロイン達の感情が一瞬で切り替わるこわさもあります。ちょっとした一言や行動で異常な行動に出るヒロインが含まれていたり、過剰にエロに対して反応したりするからです。全員がエロマンガキラーの容疑者から外れない理由でもありますが、同時にメンタルが不安定なヒロインばかりであると言うのも問題です。普通の面倒ではないキャラクターは出てこないため、曲者ばかりになっています。読んでいてほっとするような癒し系ヒロインがいないことには理解が必要です。ただし、主人公である京太郎の言動に問題がある部分も否めません。

露出の多い妄想シーンとギャグシーンのノリも見所

京太郎の妄想シーンは見所の一つで、露出大目でサービスの大盤振る舞いとなっています。エロマンガ家という職業的にエロ妄想をするのは日常であり、学校生活のあらゆるシーンを元に妄想を爆発させます。たまに妄想と現実をミックスして女性人にセクハラを働くのも忘れないのが京太郎です。常識をどこかにおいてきたのではないかと言う頭のゆるさも特徴で、天然系の女子が巻き込まれたりもします。そして、委員長に鉄拳制裁を食らったりするのです。

サイコホラー要素はありますが、そうでない時はかなりのギャグ調です。笑いとホラーのギャップが激しく、急にホラー要素が混じって読者を慌てさせることもあります。良くも悪くも展開が読めないマンガなのです。ギャグの切れのよさとアホが揃ったときの底なし加減は必見で、馬鹿の恐ろしさも教えてくれます。どうやったらそこまで人間は馬鹿に慣れるのか不思議になるシーンもあります。京太郎も大概ですが、親友キャラは輪をかけて馬鹿だからです。

ちなみに、京太郎の妄想シーン以外では見えないギリギリの範囲内で収める描写が多くなっています。スカートの中身見えるだろうというこうずでも巧みにガードされています。むしろチラリズムの方向が言っているため、現実シーンと妄想シーンの違いを見分けるポイントになっています。たまにギャグ妄想シーンが入るのもポイントで、ネタをふられればとりあえず乗っかってしまう京太郎のノリのよさを知ることもできます。エロ以外でも十分にのれる男なのです。

まとめ

ハームフル・ビューティフルは青少年の性の悩みと、性に対して憎しみを持つエロマンガキラーと言う対比が際立つマンガです。エロマンガキラーが何故エロマンガ家を狙うかはわからないものの、京太郎が何故エロマンガを書くかはしっかりと決まっているからです。たとえ女の子に興奮しないと言う感覚であっても、本にとっては大きな欠落であり、命をかけるに値するものなのです。それこそエロに命をかけるタイプの主人公は少数派のため、余計に際立つ存在になっています。

ヒロインの種類は多く、それぞれに魅力的なのもポイントです。ただし、巨乳の年上キャラなどは登場しないため、健康的なロリ美少女が好きかどうかで判断が分かれます。絶対領域が強調されるシーンは珍しくなく自然に脚に目が行ってしまったり、京太郎の妄想シーンで半裸になる事も珍しくないためエロ好きであればかって損はない出来です。ただし、サイコホラー、スリラー要素があるためただエロを楽しめる作品ではないのもポイントになっています。

個人的には評価が高い作品で、バランスも素晴らしいと思っています。一方で属性が盛りすぎで情報が処理仕切れない人がいるのも事実で、評価が分かれる作品でもあります。サイコホラーならサイコホラーで、ギャグならギャグ、萌えなら萌えとす見分けた方がすっきりすると言う人も多いからです。しかし、非常に切実な人の生き様を描いた作品でもあるため、やはりおすすめしたいと思っています。結局のところ、題材はエロマンガなわけですけど。

オススメ度
★★★★★★★★★★ ★10

記事担当:しらたま。