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いにんぐ!(1) (角川コミックス・エース)

実は私には夢があります。それは野球好きの女子と球場観戦に行くこと!ホームランが飛び込めばともに喜び、絶体絶命のピンチを迎えれば胃が痛くなるくらいの緊張を分かち合い、絶好のチャンスには肩を組んでいっしょに応援歌を口ずさむ……想像するだけでたまりません。

女子プロ野球が登場してはや10年、カープ女子という言葉も巷では流行し、以前と比べると野球に興味を持つ女性の数も増えたように思います。そんな中、登場したのが『あいうら』で有名な茶麻先生の描く『いにんぐ!』。流行に乗るように女子野球漫画の数も増えている中、『いにんぐ!』は女子野球そのものを描くのではなく、女子と野球ネタをかけ合わせた日常系コメディ漫画として人気を博しています。

作中には打撃・投球フォームのモノマネを中心とした野球ネタが盛り込まれており、野球についてまったく興味のない方からするとなかなかとっつきにくい漫画……と、判断してしまうのは早計。制服女子が豪快に足を上げ腕を振り名選手のフォームを再現するわけですよ。制服のまま、そんな激しい動きをしたらどんなことになるか……想像してみればすぐにわかりますよね?

あらすじ

中原さくら佐門由馬(さもん ゆま)は女子野球部に所属する高校2年生。野球モノマネは大得意だけど野球は一切プレイしない部長のさくらと野球のやの字も知らず数合わせ的に入部させられた由馬。女子野球部の部員はこれですべて。そう、たったの2人!

そんな廃部寸前の女子野球部に現れたのは新入生の桃貫かなえ(ももぬき かなえ)。唯一の野球経験者を迎え、3人だけの野球部は全国大会優勝に向けてようやくスタートを切る!……的なスポ根展開は一切なく、部員不足を理由に光の速度で女子野球同好会へ格下げ。

このままじゃ先輩から託された女子野球部がなくなってしまう!なんとか部員を集めて女子野球部を取り戻そうと奮闘するさくら!……的な展開もなく、三人はゆるーく野球ネタを楽しみ日々を過ごす。野球モノマネ動画をネットにアップしてみたり、河原でキャッチボールをしてみたり、野球知識皆無の由馬のために野球教室を開いてみたり、女子野球同好会の慎ましくも微笑ましい日常は流れていきます。

本作の見所

JK×野球ネタが萌えの化学反応を起こす

まず大前提として確認しておきたいのが野球をしてる女の子はものすごくかわいいということ。ただ、野球をするとなるとユニフォームになるわけで、必然的に露出も少なくなります。いや、ユニフォーム姿の女子も萌えるんですけどね!?萌えるんですけども!ここで重要なのは制服と野球モノマネの相性!

巻末のインタビューで茶麻先生も言及されていますが制服女子で躍動感溢れる野球のフォームを再現することにより、ものすごい萌えが生まれるんですよ。これ、言われてみれば「確かにそうだ!」と頷けるんですけど、なかなか気づけない盲点だと思うんです。この組み合わせの妙に気づけただけでも本作を読んだ価値があったというもの!

モノマネ職人さくらのビジュアルもまた素晴らしい。歴代の名選手のフォームを寸分違わぬ正確さでコピーする彼女の表情はときにかわいく、ときにかっこよく映り、我々の心をくすぐってきます。健全なチラリズムを喚起するアングルも非常に丁度いい。ひとつ結びの髪型も最高です!ちなみに、このフォームが誰のコピーなのか私にはわかりません(昔の松坂選手?)。モノマネすべてに答えが示されるわけではないので選手当てクイズのように楽しめるところも面白いですね。

JK×野球ネタなのでゆるく楽しめる

いにんぐ!』はあくまでJK×野球ネタ漫画であって、女子野球漫画ではありません。定義が難しいですがいわゆるスポ根要素は皆無だと説明すればわかりやすいでしょうか。時折キャッチボールをしたりバッティングセンターへと赴いたり、実際に野球を嗜むシーンもありますが他の女子野球部との熱戦が描かれるようなことは一切ありません。

上のコマでちょっぴりエッチなシーンを演じているのが新入部員にして唯一の野球経験者であるかなえ。わりと股間にグッと来るシーンだったのでチョイスしましたが、実際はヘッドスライディングの練習中の一コマです。野球はしないけど野球に関する遊びや話には積極的に興じる。それが中原さくら率いる女子野球同好会なのです!

野球漫画を否定するわけでは決してないのですが、息詰まる攻防を見ていると非常に疲れるもの。そんな緊張感とは無縁な『いにんぐ!』は肩の力を抜いて野球ネタの面白さとさくらたちのかわいさを同時に楽しめます。エッチ度については恐らくこのコマが限度。健全に野球ネタを楽しむJKの健全な萌えをお楽しみください。

JK×野球ネタだけど誰が読んでも面白い

ここまで『いにんぐ!』の魅力を紹介してきましたが、野球とはまったく無縁の人生を送ってきた読者の方の中には一つの疑念が生じていることでしょう。ずばり、「野球ネタ全然わかんなくても楽しめるの?」という根本的な疑念が!

ご安心ください。『いにんぐ!』には野球のルールをまったく知らないド素人、由馬が存在します。野球好きなら当然のように受け入れている不文律にも切れ味鋭い指摘を披露する由馬は、基本お馬鹿なさくらとかなえを引き立てる冷静なツッコミ役。野球に興味のない読者の視点として、こういうポジションもしっかり用意されているんですね。

作中に登場するギャグも野球ネタに関するものが多いですが、野球に関する知識がなくても笑えるテイストに仕上がっています。コアなネタもありますが、そういうときは大体置いてけぼり状態の由馬もセットで描かれているので寂しくない!茶麻先生自身も野球を知らない読者でも楽しめるようかなり苦心しているようで、細かい配慮が随所にうかがえます。『いにんぐ!』を通じて野球に興味を持ってくれる人が増えてくれたら嬉しいですね。そして、ゆくゆくは私もさくらのような女の子といっしょに球場観戦に……。

まとめ

いにんぐ!』のオマケ要素として、扉絵でさくらが披露する野球選手モノマネがあります。話数がモノマネしている選手の背番号になっており、1巻には19話収録されているので19人分のモノマネが描かれていることに!その中から、野球についてあまり詳しくない人でも比較的わかりやすいものをチョイスしてみましたが、誰のモノマネかわかりますか?(わからない人はトルネード投法で検索検索ぅ!)

私はどちらかというとにわかよりの野球ファンなので、扉絵の野球選手モノマネは全体の3分の1くらいしかわかりませんでした。背番号をヒントに調べていますが、それだけで時間があっという間に過ぎる過ぎる!いつか全扉絵のモノマネを網羅した回答集を作成してみたいものです。

ちなみに、1巻の店舗特典としてついてくるイラストもさくらによる野球選手モノマネになっております。こちらのツイートで紹介されている特典イラストは豪快なスイングで有名な柳田選手!特典イラストはその他にもあり、茶麻先生のブログ記事の方で紹介されています。気になる方は要チェック!

物語の行間に潜む感情の機微を炙り出せるような記事を書きたいです。ショートカットで元気な女の子が大好きなので、オススメの作品があったらご一報ください。

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