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いそあそび(1) (アフタヌーンKC)

good!アフタヌーン2017年7月号より開催された読み切り企画「四季賞新人戦」第1回に掲載され、多くの反響を呼んだ『いそあそび』。見事に連載化を射止めた本作の単行本第1巻がとうとう発売されました。

作者の佐藤宏海先生は本作がデビュー作とのことですが、画力、ストーリー運び、キャラクター造形などすべての要素において完成度が高く、ベテラン漫画家の風格すら漂わせています。実は佐藤先生は『アオアシ』の小林有吾先生と同期らしく、連載が決まるまではスタッフとして原稿のお手伝いをしていたとか。あまりに新人離れした完成度でしたから、これには納得です。

皆さんも実際に一度読んでみればわかっていただけると思いますが『いそあそび』は将来的に大ヒットする気配がプンプンします。え?実際に読む前に大ヒットしそうだと思う理由を教えろって?仕方ないですね。では、ここから『いそあそび』の魅力をたっぷりとご紹介しましょう!

あらすじ

フリルの付いた洋服を華麗に着こなし、美しい金髪を揺らす美少女、村上セト。彼女は瀬戸内海沿岸を中心に事業を展開する大企業・村上鉱業の社長の娘、いわゆるお嬢様だった。つい最近までは

父の失脚とともに村上一家は田舎へと都落ち。頼れる友人も食料もなく、セトは一人たくましく海へと潜り食料を調達していたがそれにも限界が……。空腹で浜辺に倒れるセト。そんな彼女を発見したのは同じ田舎町に住む少年、浦島六郎だった。

他人に借りを作りたくないと助けを拒むセトだったが、六郎はどうにかして彼女の力になるべく、食材の調達・調理方法を教える。海以外なにもない田舎町での生活を通じて心を通わせていく二人。グルメ!サバイバル!恋愛!とっても欲張りな贅沢漫画がいまここに幕を開ける!

本作の見所

身近な海の幸を味わうグルメ漫画

いそあそび』には大きく分けて3つの側面があります。まず一つ目がグルメ漫画的側面。海辺の田舎町を舞台にしているだけあって、浜辺で取れる食材を持ち前の田舎知識で六郎が調理し、空腹に飢えたセトさんがうまそうに頬張る。本作の基本的な流れはここにあります。

主人公が中学生のため、エビやらカニやら贅沢な海の幸を味わうような豪快さはありません。あくまで、すぐに獲れて簡単に調理できる食材を味わうのみ。ただ、調理のコツや食事する際の豆知識などなど、田舎知識の細かい描写は半端じゃありません。

快活で表情豊かなセトさんのリアクションもたまりません!育ちの良さから普段はお嬢様らしく振る舞っているものの、食事が関わると本能を解き放ち感情をむき出しにするセトさんはかなりいいキャラしてます。お嬢様が庶民の食事に手を出して恍惚とする話ってよく見かけますけど、ああいう描写に萌えを感じる人にならまず間違いなくオススメできる一冊です。

没落お嬢様が縦横無尽に駆け巡るサバイバル漫画

二つ目の側面はサバイバル漫画的要素。作中で調理する食材は基本的にセトさんが調達してきたものであり、そのために彼女は海へ潜って海藻を獲ったり浜辺で貝を集めたり、元お嬢様とは思えないほど活発に動き回ります。

ここでも詳細な田舎知識が紹介されており、貝の見分け方やワカメの採取方法など、海とは縁遠い私のような人種からすると知らない知識でいっぱい!こうやって新しい知識がどんどん増えていく漫画ってそれだけでなんか得した気分になります。

そして、何より訴えたいのがセトさんのこのビジュアル!顔だけ見たら絶対執事に日焼け止めオイル塗らせて浜辺で優雅に過ごしてそうなのに、この子ったら普通の洋服でも構わず海に飛び込んじゃいます。考えるより先に行動するタイプなので生傷も絶えませんし、両脚も中学生らしい肉付きの良さでものすごいフェティシズムを感じます。個人的にこのイラストは新しい萌えの境地を開拓してくれた偉大な一コマです。

元お嬢様と平凡な中学生が織りなす恋愛漫画

最後に紹介するのが恋愛漫画的側面。側面というかもう正面ですね、これ。恋愛にウブな六郎が、天真爛漫なセトさんの振る舞いに翻弄される様は見ていて本当に微笑ましいです。

お嬢様と聞くと「庶民の言うことなんか聞けるもんですか!ふん!」みたいな高飛車なイメージを抱きますが、セトさんはそういうタイプではありません。怒りたいときには怒り、笑いたいときには笑い、喜びたいときには喜ぶ、どこまでも真っ直ぐで誠実な女の子で嫌味な感じが一切ありません。

ここは好みによりけりだと思いますが、私は素直に感情を露わにする女の子が大好きなので、セトさんはかなりクリーンヒットしてきました。自分で食料を調達してたくましく生きるお嬢様とかもう一生ついていきたいですよね。お家再興の際にはぜひともセトさんの世話役として雇っていただきたいものです……。

まとめ

実は『いそあそび』の舞台は佐藤先生の出身地である愛媛県の明浜町(現:西予市)をイメージして描かれているそうです。六郎の披露する田舎知識の細かさは佐藤先生の実体験に基づいたものだったんですね。描写の綿密さが作品全体のリアリティをより向上させていて、いわゆる聖地巡礼にも訪れたくなるほどです。

ちなみにアフタヌーンの公式サイトでは『いそあそび』のプロローグと第1話がためし読みできます。第1話前半2ページはカラー版で読めちゃうので気になる方はぜひとも読んでみてください。さらにプロローグにはセトさんのシャワーシーンとかシャワーシーンとかシャワーシーンとかがあるので必読です。(しつこい

1巻ではまだ第4話までしか収録されていませんが、これだけでもヒットする気配がプンプンします。実在の地域を舞台にした田舎のスローライフを描き、流行のグルメ要素も取り入れつつ、なおかつヒロインがかわいい。これ以上ないほどにヒット要素が揃ってます。みなさんも『いそあそび』を読んで、将来大ヒットした暁には「いやー、絶対アニメ化すると思ってたわー」と漫画玄人的振る舞いを周囲に見せつけてやりましょう!

物語の行間に潜む感情の機微を炙り出せるような記事を書きたいです。ショートカットで元気な女の子が大好きなので、オススメの作品があったらご一報ください。

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